- 東ティモール
- 経済自立支援事業
コーヒープランテーション跡地を豊かな森に変えるとともに、ロブスタコーヒーの品質改善に取り組みます
プロジェクト背景
エルメラ県のサココ集落は標高650~900メートルの低地にあり、コーヒー市場でも値の低いロブスタ種しか栽培できません。コーヒーの木はポルトガル植民地時代に植えられたものが多く老朽化しており、収量の上下動が大きく収入が安定しません。
サココ青年組合コハル(KOHAR)は、ポルトガル植民地下でコーヒープランテーションに接収された地域の土地を、独立後、貧しい農民たちの元に取り戻すことを目的として地元の青年たちが2001年に立ち上げました。コーヒーの木の植え替えと同時に、多様な農作物をプランテーション跡地に植え、地域住民の暮らしを支える豊かな森に変えていきたいという展望を持っています。
KOHARのこのビジョンに寄り添い、多様な作物の苗をKOHARが育成して地元住民に提供できるよう苗床建設・運営を開始し、コーヒー、カカオ、果樹などの換金作物を栽培して市場につなげていく活動を開始しました。またロブスタ種の品種改善に取り組み、ロブスタコーヒーの新しい市場を開拓します。
プロジェクト内容
サココ集落にはKOHARが整備したいくつかの貯水タンク、公共水場がありますが、取水している水源の水量が乏しかったり水源と集落との高低差がなかったりして乾季には水が届かなくなってしまいます。この事業では、まず上水道修繕を行い、水が集落に安定して届くようにしました。 その後、苗床を建設し、コーヒー、カカオといった換金性の高い作物と、野菜や果樹など自給用に栽培できるものとを育て、プランテーション跡地に苗を定植し、多様な作物が栽培される環境を整えています。苗は無償で組合員および地域住民に提供し、地域住民の食生活の改善にもつなげます。
コーヒーの品質改善では、コーヒーの実をなるべく空気に触れない状態で発酵させ、果肉の甘みを豆に移してから乾燥させるアナエロビック(嫌気性発酵)という製法を試み、ロブスタ種コーヒーの新しい市場開拓に取り組みます。
この事業は、日本国際協力財団、ゆうちょ財団NGO海外援助活動の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。
現地からの声
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ベントさん(KOHAR事務局長)
アナエロビック製法のトレーニングを受け、発酵させる前にコーヒーの実を洗ったり選別したりと手間がかかるなと思いました。また、発酵に12日間、乾燥に2週間以上と時間がかかるので、有志とはいえメンバーのやる気が維持できるかということも心配しました。 発酵タンクは屋内に置いていましたが、発酵が進むと家中が熟したパイナップルのような甘い匂いでいっぱいになりました。子どもたちが不思議がって蓋に触ったりしないか、気が気ではありませんでした。 日本でカッピングした結果、もっと発酵日数を増やしてもいいということだったので、次のコーヒーシーズンにまた試作してみようと思います。(前列右端がベントさん)