- 東ティモール
- 経済自立支援事業
コーヒーの収量を増やし安定させるため、老朽化したコーヒーの木の若返りや植え替えに取り組みます
プロジェクト背景
コーヒーの木は樹齢10~15年で収穫量のピークを迎えるといわれています。安定した収量を得るためには定期的に木の若返りや植え替えをしなければなりませんが、東ティモールでは長いことコーヒーの木の手入れがされてきませんでした。
パルシックが2002年からコーヒーのフェアトレードで関係を築いてきたアイナロ県マウベシ郡のコーヒー生産者組合コカマウでは、組合員のほとんどが樹齢30年を超えるコーヒーの木を使っています。コーヒーの木の収穫のピークは15年から20年と言われており、1ヘクタール辺りの収量は近隣のコーヒー生産国の6分の1と非常に少なく、近年の気候変動により収量は年々不安定になってきています。
この事業では、老朽化している木の植え替え、土壌改良、木の手入れを専門家から学びながら実践していきます。また、その過程で得た知識や技術を実践し普及させていくことのできる若い人材を組合内に育てていきます。
コーヒーで生計を立てることに希望を見出せずに首都や国外に仕事を求めて出て行ってしまう世代の若者たちが、誇りを持ってコーヒー作りに携わっていけるように、コーヒー畑の改善とコカマウの人材育成に取り組んでいきます。
プロジェクト内容
コカマウの18の集落のグループから、各グループ2軒ずつモデル農家を選びます。専門家がそれぞれの畑を見て、各々に適した改善プランを作ります。
改善プランには、①土壌改善(土壌検査、等高線栽培*1、有機たい肥など)、②苗床づくり、③古木の更新(台きり*2)、④剪定などが含まれ、これらをマニュアル化しながらモデル農家はプランを実行していきます。
この活動を通して、次はモデル農家から技術を普及する指導員を育てていきます。指導員は、専門家から改善プランの作り方を学び、実践を通して指導方法を身に着けていきます。
このようにして、技術を身に着けた指導員が地域に技術を普及し、マウベシ全体のコーヒー畑の若返りを図っていきます。
*1傾斜地に等高線状に畝(うね)を作る方式。傾斜地の土壌流失を防ぎ、有機物を土地に蓄える役割を持っている *2 地面から30センチほどの高さで木の幹を切り、切り口近くから出てくる芽を育てて若返りを図る方法
この事業は、JICA草の根技術協力パートナー型の受託と皆さまからのご寄付により実施しています。
現地からの声
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ヘンリケ・ダ・コスタ・ヌネスさん(COCAMAU事務局長)
コーヒー畑の改善プロジェクトが始まり、パルシックスタッフとCOCAMAU組合員とで助け合いながら活動を続けてきました。 この1年、苗床や堆肥作りをしてきたことでそれぞれの畑の状況が良い方向に変わってきていると感じています。私の畑の苗床でもすでにたくさんの芽が出て順調に新しい苗が育ち、植え替えを進めています。 私たち農家はコーヒーだけではなく豆やトウモロコシ等、他の作物も栽培しています。雨季に向けてコーヒー以外の作物の手入れにも時間を割かなければいけない中でコーヒー畑の改善に向けての取り組みや日々の手入れをするのは大変です。 しかし、COCAMAUの明るい未来への期待を胸に、協力して活動を続けていきます。
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クロログループ代表のビセンティさん
パルシックの技術的サポートを通して新たな知見を得ることができ、2020年に苗床を作って育て始めた苗は畑で順調に育ってきています。私たちにとってコーヒーは子どもたちの未来のための貴重な収入源であり、次世代に引き継いでいく必要のあるものです。他の作物を育てながらコーヒー畑の手入れをすることは簡単ではないですが、ここで得た技術や知識を活かし、次の世代のよりよい未来のためにこれからもコーヒー畑を守っていきます。