- シリア・レバノン・トルコ
- 緊急支援事業
レバノンに避難しているシリア難民の人びとに食糧・越冬支援を続けています
プロジェクト背景
2011年に始まったシリア紛争から10年以上が経過しますが、シリア国内での政治的解決が実現されず、多くのシリア難民が帰国出来ない状況が続いています。周辺国に避難したシリア人の数は約518万人に上り(2023年10月末時点)、そのうちレバノンには約79万人が滞在し、UNHCRに登録されていないシリア難民を含めるとその数は150万人いると言われています。元々レバノンに滞在していたパレスチナ難民と合わせるとレバノンの居住者の4人に1人は難民となり、人口440万人のレバノンにとって、大きな負担になっています。
レバノン全土には多くの非公式難民キャンプ地があり、充分な収入を得ることが難しいシリア難民世帯の多くは、農地などの余ったスペースを借りてテント生活をしています。パルシックが活動する地域は冬期には雪が降り、気温は氷点下になるなど、テントでの生活は厳しい寒さにさらされます。多くのシリア難民は充分な防寒用品や冬服をほとんど所有しておらず、食料も借金をするなどして購入し何とか生活を続けています。
そのような状況下で、シリア難民の人たちが少しでも安心して暮らせるように、パルシックでは食料支援と越冬支援を続けています。
プロジェクト内容
2016年~2020年にかけて、ベカー県、山岳レバノン県、バールベック・ヘルメール県の難民キャンプに食料の配付と冬期には毛布などの防寒具と灯油を配付しました。
2020年には、妊婦や乳幼児を抱える女性に対し、家庭菜園と栄養研修を実施しました。新鮮な野菜やハーブを自分で育てて食べられるようにすることで少しでもバランスの取れた食事ができるよう、野菜の種・苗やその他必要な資材を提供し、作物の育て方や収穫方法を指導しました。家庭菜園は、収穫できれば貴重な食料になるだけでなく、家族で一緒に植物を育てるという楽しみにもなりました。
2021年からは日本の皆さまからのご寄付を募り、教育支援を行っている学校に暖房用の灯油を届ける越冬支援を行っています。悪化する経済状況で灯油の価格が高騰し、学校では灯油の購入が難しくなっています。2021年はシリア人女性の生計支援にもなるよう、毛糸と編み棒を提供し手編みのマフラーを作ってもらって、小学校の生徒たちに届けました。
この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成および皆さまからのご寄付により実施しています。
現地からの声
-
アルマラズ学校の校長先生
私たちの学校にも越冬支援を実施していただき、本当にありがとうございます。皆さまの助けにより、安心して教育を提供し続けることができました。生徒たちも、暖かい教室に喜んで集まってきました。(2022年の越冬支援より)
-
家庭菜園に参加した女性たち
家庭菜園と栄養の研修を受けた女性らからは、「ピーマンを3kg、トマトを1kg収穫できました」や、「栄養を考え、採れたトマトで離乳食を作りました」、「ビタミンやカルシウムが不足している子どもに自分で作った緑黄色野菜を食べさせることがうれしい」という声を聞くことができました。 レバノンでは、新型コロナウイルスの感染拡大以降、仕事が無く将来が見えない中、ストレスを抱えた夫等による家庭内暴力の相談件数が増加していますが、家庭菜園に参加した女性の半数が「家庭内の不和が減りました」と回答しています。また、約1割の女性が、女性自身や子どもたちの精神状態が安定したという言い、家庭菜園は、身体だけではなく心にも良い影響を与えたようです。