- マレーシア
- 経済自立支援事業
PIFWAの活動を支える女性たちがマングローブから加工食品を作り、収入を得ることを目指します
プロジェクト背景
2010年以来、パルシックはマレーシアのペナン半島で、マレー人の漁民グループPIFWA(ペナン沿岸漁民福利協会:Penang Inshore Fishermen Welfare Association)によるマングローブ林の植林を支援してきました。この間、PIFWAの男性たちを陰で支える女性たちの存在が気になっていました。そんな折、PIFWAのメンバーの妻たちが中心となって、女性グループPIFWANITA(WANITAはマレー語で女性の意味)が結成されました。
2014年5月に約40名のPIFWANITAメンバーのうち、28人の女性の家を訪問して、インタビューを行いました。メンバーは20代から60代までの女性たちで、活動への参加を通じて「料理を習いたい」、「商品を売って収入を得たい」、「他のメンバーと集まれる機会がほしい」など、自分たちの事業が始まることへの期待をもってグループに参加しています。
PIFWANITAのリーダーでグループを主導しているのは、シティさんという30代の女性で、5人の子どもたちと夫の7人で、小さな家で暮らしています。夫は漁具を持たない漁業労働者で、漁獲量の減少による収入の不安定化と減少に苦しんでいます。彼女は、この事業で人びとから買ってもらえるような商品を作って、収入を得たいと願っています。
プロジェクト内容
2014年4月からこの女性たちによる食品加工事業を開始しました。その販売収入で女性たちが収入を得られるようになることを目指しています。 PIFWANITAのメンバーは元々PIFWAの活動を陰で支えてきました。PIFWAは、ペナンの企業の社員や学生による植林体験を年間を通じて受け入れてきていますが、女性たちは、その準備や植林時のサポート、植林後に提供する軽食の用意、マングローブや植林に関する展示会への出展の手伝いなどを担ってきました。 これまでの活動から、女性たちも100種類以上ある多様なマングローブの木々やその効能、その果たす役割についてよく知っています。その知識から、マングローブの実や葉を使って、食品加工することを思いつきました。
パルシックが協力した事業の中で、ブルンバンという種類の木の実からはジャムを作り、ジュルジュという種類の木の葉っぱからお茶を作り、販売を始めました。2022年からは、マレーシア政府森林研究所(FRIM)の協力で、ジャムと同じブルンバンの実を使ったマングローブ・ジュースを開発し、製造販売しています。 これらの商品はPIFWAの植林教育センターでの対面販売または、PIFWAが展示会やイベントに出展する際に販売されてきました。ジュースは、FRIMの協力を得て、より広く販売される予定です。
現地からの声
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PIFWANITA代表 シティさん
ジャムやお茶を製造してみて、売るためにはいろいろな規制があって難しいと感じています。活動に参加する多くの人たちの希望を聞いて、一緒に何かをするのも初めての経験でどうしたらいいか、誰に相談していいか分からないと悩むこともありました。辛いこともたくさんありましたが、一緒に共感してやっていける人もいるので、これからも何とか頑張ろうと思っています。