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スリランカ北部の漁村の女性たちが、サリーのアップサイクルで収入向上を目指しています
プロジェクト背景
スリランカ北部の漁村地域は、2009年まで約30年間続いた内戦と2004年のインド洋津波の影響を大きく受けた地域です。内戦では、漁村地域の女性たちの多くが、一家の稼ぎ手である夫または父親、兄弟などの男性親族を失いました。元々、漁村の女性たちは男性の漁を手伝いますが、家庭外で働く機会や職業訓練の機会に乏しく、縫製など仕事につながる技術を身につける機会を求めていました。
そこで、パルシックは2012年度にサリー・リサイクル・プロジェクトの準備を開始し、女性たちがブラウスやバッグなど日常の衣類を自らの手で縫えるように、ジャフナ県の漁村の女性たちを対象にミシンの提供、縫製技術研修を行いました。
このプロジェクトでは、女性たちが研修を受けて縫製技術を身に着けるだけでなく、寄付で届けられた古着サリーを材料にして、エコバッグなどの縫製品を作ってスリランカ国内や日本などの海外市場で販売し、女性たちが収入を得ることを目指しています。材料のサリーは、スリランカの女性が身に着ける伝統衣装で、式典で正装として着られる他、役所の職員や学校の先生たちが日常的に着ているもので、知人から「各家庭にはタンスの肥やしとして多くのサリーが眠っている」と聞き、この事業の着想を得ました。
プロジェクト内容
スリランカ北部のジャフナ県の漁村に暮らす女性たちを対象に、2012年度からサリー・リサイクル・プロジェクトを開始しました。2015年4月には、活動地を隣県ムライティブにも拡大し、2県あわせて約80名の女性たちが縫製研修を受けました。
古着サリーをアップサイクルしてできあがった製品は、“Sari Connection”というブランド名を付けてコロンボの洋品店や土産物店などで販売して、女性たちの収入向上を目指してきました。しかし、2019年4月の連続爆破事件、2020年からのコロナ禍で観光客が激減しスリランカ国内での販売が止まってしまい、2020年以降は日本でのフェアトレード商品としての販売、オーダーメイドのエコバッグを発注してくださる日本企業が主な販売先となっています。
他方で、コロナ禍の2020年に、事業の後半に参加したムライティブ県の女性たちから、「追加の研修をしてほしい」との要望を受け、子ども用の制服づくりや女性の日常着づくりについて習うフォローアップ研修を実施しました。 2023年10月現在、研修を受けた女性たちは、パルシックや日本企業などからの受注品を縫製するのと並行して、家族のための衣類を縫ったり、村のテイラーとして近所の人から衣類の縫製を受注したりと、身に着けた技術を生かしています。
現地からの声
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ムライティブ県タンニムリップ村のランシラさん
今回、縫製技術を上げるための研修を受けることができ、とても助かっています。研修に参加したことで、それまで他の人に縫製の依頼をしていたサリーブラウスや家族のための衣類を自分で縫えるようになりました。新型コロナウィルスの影響で、村外の工場で働いていた人たちは仕事がなくなり、生活に困っています。もっと縫製の練習をして、家族のためだけではなく、縫製の注文を受けられるようになって、収入を得られるようになりたいです。