- 東ティモール
- 経済自立支援事業
2012年から東ティモール国内全体の環境保全のために、持続可能な農業を推進する事業を始めました。有機農業や家畜飼育の技術指導、薪の有効活用、アグロフォレストリーの推進などを行っています。
プロジェクト背景
東ティモールを初めて訪れた時から、山間部でも森林が少ないことが気になっていました。森林の喪失の原因のひとつに薪の使用があります。電気やガスなどのインフラが整っていない東ティモールではエネルギーの90%を薪に依存していると言われています。
パルシックが10年間、コーヒー生産者支援を行ってきた日がアイナロ県マウベシ郡の山中でも女性たちは食事やコーヒーのために3つの石を置いたところに薪をくべて煮炊きしています。熱効率が悪いために薪を大量につかい、家の中が煙く、目が痛くなります。とくに雨期は、薪拾いと併せて女性たちの労働はしんどいものです。
プロジェクト内容
農村で一般的な炊事場
この状況を変え、同時に生活が豊かになることをめざしてパルシックは、2012年7月から森林保全型農業の推進とこの薪の使用量を減らすための活動を開始しました。新しい分野の事業ですので、専門家のアドバイスを頂きながら、試行錯誤をしています。ロケットストーブや各種の改良かまどを導入することで、女性の労働負担を軽くすると同時に、薪の使用を減らします。さらには、バイオガスの導入を計画していますが、その導入の前に多くのことをしなければならないことに気づかされました。東ティモールでは、家畜のえさ代を節約するために放し飼いにしているところも多いのですが、それでは糞を集めるのが大変な労働になってしまいます。マウベシでは豚を囲い飼いしているので豚の糞を使おうと考えていますが、豚は4頭くらいいないと十分な糞があつめられませんが、たいていの家庭では2~3頭しかいません。したがって酪農の指導をして、収入につなげながら豚の数を増やし、豚小屋を改善しようとしています。
農家で飼われている豚
同時に果樹やコーヒーの木、日陰樹を植林して、農民たちの所得を増やしながら、森林を広げていこうとしています。東ティモールの独立10年目の2012年から開始し、これからの10年間、東ティモールの山間部に住む農民の生活を豊かにしていくことを目指します。
この事業は外務省日本連携無償資金協力の助成で実施しました。
現地からの声
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レオニト・バロスさん サルララ集落
私の家から水源までは1㎞ほどの距離があります。朝から晩まで、毎日の水汲みは大変です。妻や子どもたちが手伝ってくれますが、一日のうち水汲みに要する時間は約4時間。私の住むサルララ集落に上水システムができて、家の近くの公共水場を利用できるようになれば、水汲みの時間は1時間ほどに短縮されるでしょう。そのため一日も早く完成するように、私は毎日現場に行って、パルシックの方たちと一緒に汗を流しています。
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フランシスコ・デ・アラウジョ・バレトさん アイトゥトゥ村アイラカラウ集落
水は私たちの生活に欠かせません。飲み水や料理にはもちろん、水浴びやトイレ、野菜を育てる際にも水は必要です。そのため今は、家族総出で1日にだいたい6回水汲みをしています。1回の水汲みでは1人につき5リットルのポリタンクを4個、合計20リットルを1時間以上かけて運びます。家の近くに公共の水場ができれば、水汲みがずっと楽になります。生活がかかっているので、私は水管理委員会にも立候補し、現場にも毎日出ています。