- パレスチナ
- 経済自立支援事業
拡大する入植地に対し植樹を通して、環境の保全とともに住民の暮らしを守る取り組みをしています
プロジェクト背景
パレスチナ西岸地区にはイスラエルの入植地が数多くあり、現在も入植地は拡大し続けています(*)。パルシックは、2016年から、この地区で植樹を通して、環境の保全とともに住民の暮らしを守る取り組みをしています。これまでさまざまな木を植えてきましたが、特に古くからの主要産業であるオリーブの木を植えることはパレスチナ人にとって大きな意味を持つと住民たちはいいます。「オリーブの木は、この土地に根を張って生きてきた私たちのアイデンティティの一つです。産出されるオリーブの質は他の地域に負けません。」と胸を張ります。
しかし、イスラエル輸出用の石材を掘りだす大規模な採石場や、無認可のゴミの集積場の建設により、地域のオリーブ畑は縮小し、耕作放棄地が増加の一途をたどっています。また、イスラエルの違法入植地にも近接しているため、入植地間を結ぶバイパス道路建設のために農地が収奪されたり、入植者による嫌がらせを受けたりということも起こっており、農家の暮らしが脅かされています。
* 占領地における入植地の建設は国際法違反(1949年ジュネーブ条約第4条約、イスラエルは1951年批准)である。
プロジェクト内容
パルシックはこれまで、耕作放棄地となっている農地を中心に、地元の農家にオリーブやイナゴマメ等の植樹苗の配布、植樹活動のサポート、専門家による研修、環境ワークショップなどを行ってきました。2022年度は、耕作放棄地となっている公共地を、植林を通して緑化を推進すると同時に、占領下の生活で少しでも住民の憩いの場となるよう公園として整備します。
この事業は、国土緑化推進機構緑の募金の助成および皆さまからのご寄付により実施しています。
現地からの声
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北アシーラ村の農家ラミ・ヤスィーン
1983年に北アシーラに生まれ、大学では会計を学びました。本業は農家ですが、町役場を通して、造園や植樹、農業省の仕事にも関わっています。去年の植樹活動にも参加し、オリーブ以外にも数種の果樹を植えました。アシーラ農業の幅が広がっていくことを期待しながら、毎日手入れしています。今回の事業は、農業に欠かせない堆肥づくり、住民の新しい仕事の機会にも繋がるため嬉しいです。アシーラが他地域のお手本となるように私も事業を応援していきたいです。
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イマッド・ジャミールさん
イマッドさんは、北アシーラ町の農業組合のメンバーです。以前、別の場所で作られた堆肥を使ってみましたが、効果を感じられず使うのをやめていました。しかし、町で作る生ゴミを活用した堆肥に興味を持ち、生ゴミ分別にも参加し、再び堆肥を試しています。 「オリーブ以外にも、ホウレンソウ、パセリ、キャベツ、レタス、カリフラワー、セージなどの栽培にも生ゴミ堆肥を利用しました。土壌が改善し、生産量も増えただけではなく、味も向上したと感じています」。