<レバノンで体験!>オリーブ摘みとオリーブオイル作りに行ってきました
- コラム
11月になると西アジアではオリーブの収穫が始まります。オリーブの収穫は、農家の一年のなかでとても大きなイベントです。春から夏にかけて雨が降らなくなり、秋も深まってきて降る最初の雨がオリーブ収穫の合図です。オリーブの木をもつ農家は一家総出で、日の出と同時にオリーブ摘みを始めます。今回、レバノン北部のアッカール県でオリーブ摘みに参加してきました。
アッカール県にはオリーブ農家が多くあります。しかし、最近のレバノンの経済状況悪化により多くの市民が国外に脱出し、統計では既に約25万人がレバノンを出国したと聞きました。そんなわけで、今まではそれぞれの農家のメンバーだけで収穫ができたのが人手不足ということで、農家によっては知り合いに声をかけたり、地域によっては、地域住民全員で1つ1つのオリーブ農園の収穫を一緒に行ったりしています。経済状況が悪い中、オリーブが無駄にならずに少しでも多くの収入になるよう努力をしています。
収穫を迎えたオリーブの実
アッカ―ル県はベイルートから車で3時間かかるため、農園に到着したのが10時となってしまいましたが、他の人たちは7時からオリーブ摘みを開始していたと言っていました。レバノンの11月は、日中は気温が30度近くになるため、暑くなる1時ごろまでにその日のオリーブ摘みを行う必要があります。
多くのオリーブの木が2~3メートルぐらいの高さで、高いところのオリーブは、棒を使って枝をたたきオリーブを落としていました。はしごも使用しましたが、オリーブ摘みの達人曰くオリーブの木はそう簡単には折れないので、はしごはあまり使わないと言っていました。
木の周りに敷いたシートに落としたオリーブを集める様子
収穫したオリーブ
1つの木のオリーブを摘む前に、木の周りにシートを敷きその上にオリーブを落とします。最後1つの袋にまとめ、オリーブオイルを絞る工場に持っていきます。昔は、大きな石臼でオリーブを砕きオリーブから油をとっていましたが、今は機械を利用しています。それぞれの農家がその日の収穫分を工場に持っていってオリーブオイルを作ります。
5歳のマルワもオリーブ摘みに朝から参加
集めたオリーブは袋に詰めて工場へ
それでは、ここから工場でのオリーブオイル作りの様子をご紹介しましょう。
1.収穫したオリーブがそのまま機械に乗せられる
2.ベルトコンベアには水が流れていて、オリーブの実を洗っている
3.余計な葉っぱが取り除かれ、オリーブの実のみがここに出てくる
4.大きな臼でオリーブが砕かれる
5.砕かれたオリーブが円形の皿に広げられ、その皿が上に重ねられる
6.皿の重みでオリーブが搾取されている。
この地域では1世帯大体50~60本のオリーブの木を持っているらしく、その収穫されたオリーブからは、家族が1年間で使用するオリーブオイルが取れ、さらに親類にも配っているそうです。一部のオリーブは普段の食事でも食べるように瓶詰にしたりもしているそうです。
オリーブ摘みの後の食事の様子。畑でとれた野菜のサラダや同じく畑でとれた落花生
フライドポテトの調理中
工場の裏には、オリーブの絞りかすで作った燃料も置かれていました。レバノンは現在燃料不足のため、冬の間のストーブや料理用の燃料に利用するとのことです。
工場の裏手に置いてあった、オリーブの絞りかすで作られたオリーブ燃料
(レバノン事務所 大野木)