ガザスタッフからの声(11/20-11/24)
- コラム
11月20日
タグリードから
昨日サハルが自宅を訪問してくれました。戦争以降、一度も顔を見ることができず、通信環境も悪くて孤立した感覚になっていましたので、あまりの嬉しさに興奮していました。胸の高鳴りを感じ、ハグし続けました。サハルは私のために食料を調達してきてくれ、必要なものを選んで220シェケル(約8800円)を支払いました。ジャム、チーズ、ピクルス、米、砂糖、卵、タヒーナ(白ごまのソース)など、どれも本当にうれしかったです。サハルの姉妹が焼いたパンも持ってきてくれました。本当に救われた気持ちでした。もちろん通常価格よりも高額ですが、サハルが私のために高くて見つけることも容易でない食材を購入し、移動の危険もある中で訪問してくれたことに心から感謝しています。
サハルから
- 今日はユセフと一緒にアルマワーシ村の羊農家22世帯の自宅を訪問しました。戦争がはじまって以降、皆さんのことがとても心配でしたが幸い皆さん無事で、羊も無事でした。1世帯のみ自宅におらず、引き続き状況確認を続けていきます。羊の飼料も値上がりしており、十分に餌をあげることができないため、羊はやせ細っており大きなストレスを抱えているようです。しかし、備蓄していたパニカム(イネ科の植物)を食べている羊もいて、畜産チームのユシフと共に、少し安心しました。
- 物価の値上がりは人びとの食糧確保の大きな障害となっています。通常であれば塩1kg80円のところが800円、パンを作るイーストが1袋240円のところ1800円です。それでも羊農家の中には、敷地内にある土窯で自家製のパンを焼いており、人びとのレジリエンスの高さを感じています。
ユセフから
- 今日は安全を祈りながら、沿岸部のアルマワーシ村の羊農家の家を1件1件訪問しました。通信状況が非常に悪く、連絡が取れなかったのと、昨晩からの激しい雨で早朝から非常に寒くて心配でしたが、何とか羊農家たちを短時間ですが訪問できて安堵しています。
- (深夜0時ごろの連絡)35分前に自宅から4キロほどの場所が空爆を受けました。家から火が見えます。そして今はひどい雨で嵐のようです。自宅に85人が引き続きいますが、室内は寒く、85人分の十分なブランケットや服がないことが心苦しいです。特に家族以外で北部から避難してきた方々に申し訳ない気持ちです。
- 日本の皆さんからのメッセージに励まされています。私たちのことを想ってくれていることに感謝です。
11月21日
サハル・シャディ・アブダッラー・ユセフから
今日も安全を祈りながらアルマナーラ村の羊農家27世帯に会いに行きました。2世帯のみ避難していましたが、残りの皆さんなんとか無事で、羊も無事だそうです。もちろん空爆もありますので決して安全ではありませんが、皆さんの顔をみることができ、状況確認をできました。
サハルから
- アルマナーラ村を訪問後、パン焼き機を買ってタグリードの自宅を再度訪問しました。ちょうど私が訪問する前に、タグリードの自宅近くのヌセイラットキャンプが空爆を受けていましたので、道中何も起こらないことを祈っていました。幸い、今無事タグリードに会ってパン焼き機を渡し、自宅に戻ることができました。ガザチームは全員無事です。
- 私は戦争が始まって以降、毎日外に出て食料の調達や洗濯、親戚や友人を訪問して無事かどうか確認しています。停戦まで家でひたすらこもって祈り続けることは耐えられません。繰り返しになりますが、ガザ全土のどこも安全な場所はないのです。今日生き延びれるか分からないので、今できることに専念し、皆で生き延びようとしています。
11月23日
サハル・タグリードから
本来であれば今日から一時停戦の予定だったのですが、昨晩は夜通し空爆が続き、言葉では表現できないほど恐ろしい夜でした。明日こそは停戦になることを心から祈っています。
11月24日
イスラエル軍とハマス間での合意により、4日間の停戦合意が今日から実現しました。
サハルから
今日から停戦が始まりました。これが一時的ではないことを心から祈っています。人びとは午前中は様子を見ながら外に出ていました。午後には人がたくさん溢れかえっていて、久しぶりに家族や親戚を訪問する人、自宅に戻る人、買い出しをする人など皆さん大忙しでした。10月7日以降、はじめて空爆のないのです。人びとは何度この瞬間を待ちわびていたでしょうか。
ガザの人たちは今も被災した市民同士で協力しながら、この瞬間を生き延びようとしています。どうかガザの一般市民がおかれている極限状態を超えた現状を一人でも多くの日本の皆さんに知っていただき、即時停戦に向けて連帯の輪を広げていただけますと幸いです。引き続きお力添えのほど、よろしくお願いいたします。