ガザスタッフからの声(12/14-12/19)
- コラム
ここ数日ガザとの通信状況が不安定で、状況の確認が困難でしたが、12月19日時点でガザスタッフ6名の全員の無事を確認しています。タグリードの自宅があるヌセイラットや、ユセフの自宅があるハンユニスは昼夜問わず空爆が続き、特にユセフが住む中心部はイスラエル軍に包囲されつつあります。2ヶ月以上続く空爆下の過酷な生活で体調を崩すスタッフも増えています。ガザスタッフだけでなく、パルシックが支援してきたアルマナーラ村とアルカララ村の羊農家の多くが避難し、アルマワーシ村の羊農家は引き続き自宅で耐えていますが、同村には多くの避難民が押し寄せています。今日は、そのような極めて過酷な生活の中でも、工夫をこらして生き抜こうと奮闘するガザスタッフの様子をお届けします。
12月14日
シャディから
ラファに避難している多くの人がテント、もしくは木材やナイロンシートを購入して自分たちで工夫してそれらを組み立て、仮設の避難所を作っています。トイレがないテントで避難生活を送っている女性は近隣住民の自宅のトイレを借り、男性はモスクなどのトイレを使っています。また、地面に穴を掘って、その穴の側面が崩れないように樽を埋め、その上に購入したトイレの便座を設置するという手作り簡易トイレでしのいでいる人もいます。なお、樽の底は抜き取っており、砂を敷き詰めるため、砂が吸収できて多少の期間は使い続けられることができます。
トイレ用にブロックと土を取り除いた穴(シャディ撮影)
仮設の避難所を作るために支柱が建てられた様子(シャディ撮影)
木材を組み立てて支柱を作りビニールを貼り付けた仮の避難先(シャディの避難先の親戚宅から撮影)
歩道などのいたるところに仮設の避難所が作られています(シャディの避難先の親戚宅から撮影)
また、電気やガスもないため自分たちで火をおこして調理します。薪の値段の高騰は続いており、1kg約80円です。私は500kg約40,000円で購入しました。それより少量を購入した場合、1kg約120円となります。この500kgの木材は、2週間から1ヶ月で使い切る見込みです。私はパンの生地を自分たちで作り、市民が提供している土窯を使わせてもらいパンを焼いています。もし自宅でパンを焼いていたら、木材をもっと早く使い切ることになるでしょう。
高額な薪を購入してスイカの種を炒るシャディ。パレスチナではスイカの種がスナックとしてよく食べられています
12月19日
サハルから
サハルから、家族や孫のために一生懸命パンを焼くたくましい姿のビデオが届きました。
「自分でパンを焼く作業は決して簡単ではなく、とても難しいです。私の母も昔はこのようにパンを焼いており、私が16歳で結婚する前は私も手伝っていました。その後は他の方法(キッチンのオーブン)でパンを焼くか、パン屋さんから買うようになりましたが、残念ながら今回の戦争で昔の生活に戻りました。パンを自分で焼くには時間も労力もかかります。しかし焼きあがった時の満足感は格別です!私の家族は全員昔ながらのパンの焼き方を身に着けました。そしてもちろんとても美味しいですよ。(外は寒くなってきていますので)焼き終わったら風邪が酷くならないように室内に戻ります。」
長い時間外で作業をしているため風邪気味であったサハルは、この後風邪がひどくなってしまいましたが、家族のみんなが少しでも温かくて美味しいパンを食べれるように、今日も奮闘しています。