デニヤヤの山奥よりジャフナを訪問 ― その1
- コラム
ワナッカム(タミル語で「こんにちは」の意)!いつもはデニヤヤの山奥にいる高橋ですが、今回は5月初旬にジャフナを訪問した際に見たこと、感じたことなどを2回に分けて報告させていただきます。1回目は主にジャフナの風景、2回目は食べ物についてのレポートを予定しています。
中央奥にサリー姿で自転車をこぐ女性
本島側から途中まで綺麗に舗装されたばかり、途中からは未舗装。未舗装部分は道の両脇にガードレールなどはありません。
奥の背の高いのがジャフナ名物パルミラ椰子。ジャフナの人々は食糧や資材として実も木も丸ごと有効利用しています。高木の手前のモコモコしているのは、若いパルミラ椰子
ジャフナへの行き方には車、バス、鉄道とバスの組み合わせ、飛行機などがあります。今回は、コロンボから鉄道で北部州ワウニアまで進み、そこからバスに乗り換えてジャフナを目指しました。バスに乗り換えてからは、左右に遠くまで広がる乾燥した土地の中を真っすぐ北上します。そして、途中のオーマンタイの軍の検問所で降車し、パスポートの確認をされます。ここでの検問対象は外国人のみでした(帰路は夜行バスを利用しましたが、その際はなぜか乗客全員が降車させられて身分確認を受けました)。4時間ほど窓全開(エアコンが無いためですが、窓を開けていてもかなり暑いです)で、ボリューム全開のタミル音楽が鳴り響くバスに揺られてジャフナタウンに着くと少しぐったりしていましたが、バスから見える町並みに興奮しました。まずは、想像していたよりもずっと町が整っていて驚きました。メインストリートには、商店が立ち並び、人通りも多くとても活気があり、なんだか少しホッとしました。
町で人々の様子を見ていて一番驚いたのは、サリーを着た女性が自転車やバイクを運転していることです。コロンボやデニヤヤでも、サリーを着た女性が後部座席に乗っているのは見かけますが、女性がサリーを着て自分で自転車をこいだり、バイクを走らせたりしている姿は初めて見ました。ジャフナでは文化的・宗教的にカーストの概念が強く残り、男尊女卑も顕著に残るという話を聞いていたので、非常に単純な発想なのですが自転車をさっそうと漕ぐサリー姿の女性は頼もしく見えました [写真1]。
一方、ジャフナタウンを離れて、事業地のひとつ乾燥エビのヴェラナイへの道のりには町とはまた、まったく異なる風景が広がっていました。ヴェラナイは本島から少し離れた島にある村ですが、ジャフナ本島からは島への道が整備されており、陸続きで行くことができます。大昔の某スペクタクル映画の一コマのようだとまでは言いませんが、海をぱっかりと割ったように道が延びている風景は圧巻です [写真2]。そして、島に着くと道の両脇には乾燥気味の草地が遠くまで広がり、野良牛が群れているのが見えます。野良牛というのは、以前は家畜として世話されていたものが、戦争のため人々が避難したためそのまま残された牛が野良化したものです。そして、その野良牛が群れている草地の遠くには、パルミラ椰子の木が立ち並んでいます [写真3]。そして、野良牛だけではなく、家々が窓やドアを壊された状態で放置されているのも印象に残りました。将来、これらの家には避難した人々が戻ってくるのでしょうか。。。
戦後の復興が予想していたよりも進んでいるな、という第一印象の後、数日間ジャフナに滞在している間にまだまだ残る戦争の傷跡とともに、ジャフナと南部の間の興味深い違いを色々と見ることができました。次回は食べ物についての感想を報告したいと思います。
(パルシック 高橋知里)