シリアの冬に欠かせない保存食「マクドゥース」
- コラム
シリアの首都ダマスカスや、その周辺の地域では、9月ごろに収穫したナスをオリーブ漬けにした『マクドゥース』を作ります。冬になると天候が悪くなり野菜がとれなくなることから、秋に保存食を作り、冬から春にかけて食べるのです。
パルシックのスタッフによると、マクドゥースはダマスカスが発祥の地で、各地に広まったそうです。レバノンでもシリアと同じくこの時期にナスの収穫後マクドゥース作りをしている家庭もあります。
今日は、シリアの冬の食卓に欠かせない『マクドゥース』の作り方を紹介します。
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材料(5人家族のスタッフが冬と春に必要な分のマクドゥース)
1.ナス30キロ
2.にんにく500g
3.くるみ2キロ
4.チリペッパー20キロ
5.オリーブオイル4リットル
6.塩500g
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1. ナスを鍋にいれ弱火で煮て柔らかくします。(写真:Aljazeeraより)
2. 一度鍋から出して冷まします。( 写真:Aljazeeraより)
3. ナスに切り込みを入れて塩を塗り込みます。2日間寝かせて水分を出します。(写真:Aljazeeraより)
4. ナスに詰めるための詰め物を準備します。チリペッパーから種を取り出し、2日間天日干しにし、砕いたニンニクとナッツを混ぜ合わせます。(写真:Aljazeeraより)
5. ナスの切り込みに詰め物を詰め1~2日間寝かせて、水分を出し切ります。最後に容器にナスをいれ、オリーブオイルを容器いっぱいに流し入れ出来上がり。(写真:Aljazeeraより)
6. スタッフの家で今年作ったマクドゥース。シリア人は、冬の寒さに負けないためにマクドゥースが健康にいいと思っています。
シリアには2種類のナスがあり、1つは日本で目にする細長い黒いナス。もう1つは小ぶりで少し薄紫色のナス。マクドゥースには後者のナスが適しています。
シリアでは、長期化する紛争により失業率が上昇し、欧米からの経済制裁により物価が上昇するなど、人びとの生活状況は依然として厳しいままです。
生活環境の変化に伴い、マクドゥースの材料も少しずつ変化しています。紛争前は、1 キロ500シリアポンド(約100円)で購入できたナスが、現在1キロ5,000シリアポンドに値上がっています。高価なオリーブオイルの代わりに安価な菜種油を使ったり、詰め物のくるみの代わりに安い別の豆類を入れて工夫している世帯もあります。材料が手に入る世帯は、新たに生計を支えるための手段として、マクドゥース生産を始めマーケットで売ったりもしています。冬になると天候が悪くなり、日雇いの仕事が減ることもあるので、収入がなくても食事がとれるように、マクドゥースを作る家もあります。
マクドゥースは、ぶにゅっとしたナスの食感に、少し酸味があり、シリアでは朝ごはんにパンにはさんで食べたりしています。
なかなか簡単に作ることはできませんが、ご興味がある方は是非ご自宅で作ってみてください。
(レバノン事務所 大野木)