特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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レバノンにて難民の方々と共に2019年を迎えて

  • コラム

パルシックのレバノン事務所駐在員として、2017年の春よりレバノンに暮らす難民の人びとに支援を届ける事を自身の使命としてきながら、人びとからいつも励ましをいただき、何とか継続することができました。そんな2018年もいつの間にか過ぎ去り、2019年を迎えました。

新年を迎えるにあたり、いつもご支援くださる皆さまに厚く御礼申し上げますと共に、昨年レバノンにおいて当団体が実施した事業のハイライトと、今後のレバノン事業の展望をお伝えしたいと思います。

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一列に並んで行進する児童たち。どうしても後ろや周りの子が気になりきょろきょろ。

2018年のレバノン事業のまとめ

2018年のレバノンにおけるパルシックの活動は、ベカー県ザハレ郡にて前年度とほぼ同じ内容の教育支援と越冬支援を引き続き行っています。

教育支援事業

2018年5月、レバノンにて新たな教育センターを開始してから初めて270名の児童たちが年間プログラムを修了する月となりました。無事に修了することのできた児童たちへは、1年間の成績表と、ささやかな修了祝いの花を手渡しました。成績表を受け取った児童たちはそれぞれ思い思いの表情を見せ、先生に褒められ照れた表情をする児童や、思ったような成績が取れず悔しさに目に涙を浮かべる児童、クラスで1番になり鼻高々な様子の児童など、さまざまでした。中には自分の成績に納得がいかず、教育センター長に直談判する児童も数名見られ、彼らにとっては努力の結果が実を結ぶ喜びとまたその逆を感じる初めての経験となりました。10月からは新しい年間プログラムがスタートしており、本事業の教育センターへの通学が2年目となる児童たちは、昨年度と比べちょっぴり大人びて見え、昨年就学前クラスで泣いていた児童が今年度入ってきた年下の児童の面倒をみてあげている様子に、見守る教員の方々に笑みがこぼれました。

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新しく勉強したアルファベットの出来栄えを見せてくれた児童。1つずつ覚えていきます。

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2018年12月に行われた教員研修。それぞれの先生方の心がけている指導方法、指導面で困難を感じる点やその対応方法について真剣に討議しました。

2017-2018年をまたいで行った食糧・越冬支援

ジャパン・プラットフォームの助成によるザハレ郡でのパン・食糧バスケット・灯油の配布に加え、皆さまのご協力で実現した教育センターに通う児童への軽食の配布と、緊急の越冬支援としての灯油や毛布、マットレスの配布など、支援を必要とする多くの人びとへ支援を届けることが出来ました。2018年10月からは、前年度の支援規模を縮小せざるを得ませんでしたが、それでも前年度の越冬支援のモニタリングで最も必要だという声があった暖房用灯油を、対象世帯へ前年度とほぼ同量、食糧バスケットと共に配布しています。

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2018年12月の食糧バスケット配布時の写真。雨の中、キャンプ地内のボランティアの手を借りて配布しました。

レバノンに暮らすシリア難民への支援の今後

シリア国内の状況は、マクロレベルでの見方では、概ね政府軍により制圧され、今後人びとの帰還が順次進められていく体制が整いつつある、という流れにあります。しかしミクロレベルのより難民の実感に近い見方では、レバノンに暮らすシリア難民は未だ、シリア国内の安全性、不足するインフラ(住居、教育施設、医療施設)、仕事の欠如、望まない兵役の義務[1]、帰還に必要な複雑な個人情報の証明プロセス、レバノン国内で生まれた子どもの法的書類取得の困難さなどなど、個人ではどうすることもできない問題に妨げられ、帰還という選択肢を選ぶことは非常に困難であるのが現実です。

ひとつだけ確かに言えるのは、今後少なくとも数年はシリア国外の難民の状況はより一層深刻なものとなっていくだろうということ、そしてそのような人びとへの支援がこれまで以上に必要とされるであろうということです。パルシックが今後も支援を通じ、現地の人びととの強いつながりを持ち、その中で未来へ繋がるものを生み出す取り組みが出来るよう、どうか応援をお願いいたします。

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雪に覆われたキャンプ地。これから数か月、キャンプ内のテントに暮らす難民の人びとの寒さとの闘いが続きます。

[1] 難民となった人のうち、シリア政府軍の徴兵を逃れる為に国外へ避難したという人は多くいます。特に20~30代の男性は緊急事態宣言の下、シリアへ帰国する場合は強制的に無期限延長の兵役につくことが求められます。

(レバノン事務所 宮越)

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