東ティモール、マウベシの停電と水事情 ー 大島の東ティモール生活①
- コラム
こちらに来て3か月、だいぶ生活にも慣れてきましたが、日本と違うのは、東ティモールではよく停電することです。首都のディリでの停電は1、2時間で直ることがほとんどですが、マウベシはもっと本格的で、これまで2度、電気が復帰するまでに1週間ほどかかったことがありました。
電気というのは不思議なもので、停電して1日、2日は不便を感じますが、3日目くらいからは、ない状態に慣れてきます。昼間はジェネレーターの電気でパソコンなどを使いますが、夜はロウソク生活になります。食事をしていても何を食べているのかよくわからないので、おいしさ半減です。ロウソクの光で読書もしてみましたが、5本並べてもまだ明るさは頼りなく、風情はありましたが目が悪くなりそうだったので、すぐにやめました。
3日もすれば慣れる停電ですが、なにより楽しいのは、電気がふいに、何の前触れもなく復帰した時です。その瞬間の「電気があるってこんなに便利!」という喜びは圧倒的です。しかし悲しいかな、私も現代人なので、電気がある生活にもあっという間に慣れてしまいます。「こんなもの、使っていたねえ」とロウソクもさっさと片付けます。
いっぽう水が止まると電気とは比較にならないほど大変です。普段からトイレの水桶に水を溜めていますが、水が止まるといろいろな苦労がスタートします。トイレを流すのもいつもの半分の量に、体を洗うのにも、ちびちびと水をケチるようになります。拭き掃除もできないので部屋はどんどん埃っぽくなっていきます。
水桶に水を張って断水に備えます
先日、5日間ほど水が止まった時、ティモール人スタッフが困った顔で「こっちの部屋にはもう水がない」と言ってきました。本当は私の方には(まだ少しは)あったのですが、「ごめん、こっちも……」と、思わず嘘をついてしまいました。
水が止まると、体や部屋が汚れるだけでなく、心まで荒みます。あるいは、たんに私の本性がにじみ出てくるのかもしれません。私は、山岳地帯の水供給システムを造っていますが、思いがけず自らの生活で、水は大事だなあと、身に染みて感じている今日この頃です。
(マウベシ事務所 大島大)