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東ティモール 美味しいコーヒーに出会う旅2023 参加者たちの感想文(1/3)

  • コラム

2023年8月に開催された「東ティモール 美味しいコーヒーに出会う旅」に参加した皆さんから旅の感想をいただきました。

東ティモールの旅で

桃井美鈴さん

この旅でとても大事な知恵を一つ学びました。

それは東ティモールの子どもたちと、同じ旅に参加した大学生たちのおかげです。

私は、たくさん行ったわけではないけれど、辺境といえるような地を旅するのが好きです。でもそこでよくあることですが、子どもたちにじっと見つめられると緊張して固くなってしまっていたのです。そして今までの経験では、子どもたちが手を出してくる、、、、そんなとき行きずりの無責任な旅行者である私は、いろんな思いがグルグルして、子どもたちに対してどうしていいかわからなくなってしまいます。

今回のティモールでは、あっ、子どもたちが道端でこちらを見ているどうしよう、と思いかけたとき、素晴らしいことが起こりました。参加者の大学生たちが、にこにこと手を振ったのです。そうしたら子どもたちも大きな目の顔をにっこりさせて、手を振り返してくれたのです!とっても素敵な瞬間でした。

「あっ、こうすればいいんだ!」 私の人生で、わだかまりが取れたような、新しい良い知恵を知ったような、そんな気持ちでした。すぐさま私も手を振ります、にこにこと。東ティモールの子どもたちは、それだけで私を受け入れてくれる。とっても嬉しかったです。

それから先は、子どもたちがこちらを見ているのに気づくと、歩いていても車の中からでも手を振りました。すると子供たちが、素敵な笑顔で手を振り返してくれる。

もう一つ、東ティモールの子どもたちは歩いていてすれ違う時など、向こうから先に「ボンデイーア、こんにちは」と声をかけてくれる。私が、この挨拶の言葉を覚えたのは子どもたちのおかげ。私も「ボンデイーア」、と答える。

素敵な時間をありがとう!東ティモールの子どもたち、一緒に旅に参加してくれた若者たち!

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クロロの子どもたちと

コーヒーなのにスタディにもひと言もない感想文

めんどくさいカフェ しばやす(東京都目黒区)さん

まるで観たように言いますが(観ていないはずなのに…という話)。

東ティモールとそこに暮らす人たちを体現するようなプログラムだった。なにかに導かれて終わってみたらきれいな円を描いていた、というような。どんなに気が利いていたって、人の計りごとだけでは決してこうはならないはずだ。

ここで念のために言っておくけど、計りごとがもたらしてくれたことも、すごかった。驚き、喜び、その質、その量。でも、それは、きっともう少ししたら、整理整頓してペラペラ説明したり、何度もおしゃべりしたりできることだと思うから、ここでは言わない。

大の旅好きだがツアーというのは修学旅行以来で、そのことについての緊張は最後まで消えることはなかったし、案の定、移動は点から点にスイスイ、引っかかることに思う存分立ち止まるのは無理。でも、瞬間瞬間、まだ言葉になる前の聞きたいことや感じたいことに、これまた言葉や説明ではない瞬間瞬間のできごとが応えてくるのだ。しかもかなり明確に。

完璧な結末。トランジットで立ち寄ったクタのビーチで沈む夕陽に乾杯だ。訪れた30年前に比べれば、国内旅行している人も少しは増えたような印象だが、席捲するは相変わらず外国人お金持ち観光客。ビーチ沿いいっぱいの外資・多国籍・チェーンのお店やエキゾチックな飲食店はそのお相手に忙しい。いや、土産物屋さんだって美味しい屋台だって、みんなそうだ。

なんで完璧か。ゴール地点でスタート地点を振り返り、それと比して…。

東ティモールの旅の幕開けは、車窓にずっと続いたディリのビーチの衝撃だった。たくさんのくつろいだ人、人、人。それに負けない数の誰でも(買わなくても)ふらりと腰掛けられる椅子が、土から生えてきたように自然に置いてある。屋台で売る人も買う人も作る人も食べる人も、間違いなくそこに暮らす人。「日没とともにある巨大なキリスト像絶景かな」を目指すも渋滞で断念。その原因はディリの若者たちがモトクロス大会を楽しんでいたからと判明。そこに暮らす人(何度も言う)は観光客なんてどうでもいい!

「東ティモールって、もう少しで外資獲得のあてにしていた石油も枯渇しちゃうんだって」「クタビーチがあるでしょ。だから、きれいな海があっても観光地になれないんだって」「大変だねえ」……

もちろん、たいへんなんだろうとは思う。分かってる。分かっているけど「いや、それってラッキーなことじゃん?」と言ってしまう、どうしても。東ティモールに暮らす人たちも、どこかそう思っていて、しかも私のような投げやりではなく、私(世代)にはまったく思いつかないような驚くほど賢くまったく新しい若い知恵と感性で、自信と確信を持って生きているような、なんかそんな気が…。ジャマすんな、と。

まるで聞いたように、さすがに、ちょっと言い過ぎか。

目が覚めるような気持ちで聞いていた、案内してくださった伊藤淳子さんの、仕事や人生にまつわる、めんどくさい葛藤に満ちたお話には、ほとんど恋してしまった。どれだけ道中の想いを、めんどくさく豊かにしてくれたことか。ありがとうございます!

もし、まだ生きているうちにチャンスがあったら、もう少しテトゥン語を覚えて、今度はアタウロを訪れてみたい。懐かしいクロロにもあいさつに行って、またたくさんのことを教わりたい。大好きな木麻黄にも会いたいな。

 

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車窓から見たディリのビーチ

ツアー感想文

川村真実さん

この度は、有意義なツアーを開催していただきありがとうございました。現在私は、大学で途上国支援の意義や課題、また途上国の生活改善について学んでいます。このツアーに参加し現地の方と直接コミュニケーションを取り、疑問に思ったことはすぐに質問し答えてもらい、大学の講義での学び以上のものがありました。

中でも、最も印象に残っていることはクロロの集落の方との交流です。クロロに向かう道中はもちろん、日々の暮らしぶりをのぞき一緒に体験することもでき、忘れられない民泊の思い出になりました。

クロロへ向かう道はとても厳しく、近年の気候変動の影響も受けている現状を知ることができました。クロロ到着後は、日本人の私からすると不便に見える炊事場での調理の様子を見たり、集落の方や子どもたちと一緒にコーヒー豆の収穫を行うことで、コーヒー豆を育て収益化し、生産者に等しく還元することの難しさを学ぶことができました。また、淳子さんをはじめとするパルシックの皆さんが、東ティモールの人びとの生活を豊かにするためだけでなく、今ある生活や集落全体の人間関係、自らの力だけで続けられる持続可能性なども考えたうえで支援を行っていることがよくわかりました。

支援することの意義やその可能性について学びに行きましたが、実際に行って学んだことは援助なんて本当は必要ないのかもしれないということです。何をもって貧しいと捉え、豊かと言うのか。豊かさについてしっかりと向き合い、自分なりの答えを見つけたいと思います。

最後にコーヒーから話は逸れますが、クロロの子どもたちが国歌を歌ってくれた姿と歌声と、帰りの道中でぬかるみにはまった車を引き上げてくれた青年たちの姿は、今でも鮮明に思い出します。自分の国を愛し、周囲の人と助け合いながら生きる彼らの姿を見て、人の力強さと可能性を感じました。東ティモールは金銭や物質的な豊かさはないかもしれませんが、心の豊かさに溢れている国だと思います。これから東ティモールも更なる発展を遂げると思いますが、根本的な部分は変わらないで欲しいなあと思ってしまいました。いつか、また東ティモールの地を訪れたいと思います。

改めて、素敵な旅をありがとうございました。

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東ティモールの国家を歌ってくれたクロロの子どもたち

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