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東ティモール 美味しいコーヒーに出会う旅2023 参加者たちの感想文(3/3)

  • コラム

2023年8月に開催された「東ティモール 美味しいコーヒーに出会う旅」に参加した皆さんから旅の感想をいただきました。

東ティモールにこれから行く人へ

畑山満瑠さん 

今回、パルシックさんのツアーに初めて参加させていただきました。

8日間の旅は初で不安はありましたが、海外の旅に詳しい知人も参加するということで、気遅れせず行くことを決めました。紛争からその後、どのように国を発展させてきたのか、この目で見てみたいという思いもありました。

ディリに着いてからの街はコンクリート作りの各家々に有刺鉄線があるなど、まだ戦争の名残りがあるような様子が伺えました。旅行に行く前は治安は大丈夫なのかと心配もありましたが、宿泊先の周辺を散策している時、現地の人が道を教えてくれた親切心に安堵して旅行前の不安が一気に吹っ飛びました。

ディリの街では歴史博物館、共同墓地、市場、カフェティモールを見学しました。市場はかなり賑わっていたこと、そして驚いたのが豆腐が売っていたことです。

特に印象的だったのがクロロ集落までの道のり、この先にホントに人が住んでいるのか?と疑わしく、映画のワンシーンで使われるような険しい道で、ワクワクしながら楽しませていただきました。雨でぬかるんだ所を何度もタイヤをスタックさせてはトライして、その場を切抜けるドライバーさんの卓越した運転技術に感動いたしました。所々に道幅は車が一台分の狭さ反対は崖側でガードレールもない道を危険を承知で毎日通っているのかと、普段舗装された道を当たり前のように使ってる私には想像できなかった世界があることを思い知らされました。

少しづつ道路が改善されて村の発展が良い方向に進むことを願いたいです。

この旅の終着地点であるクロロ集落は自然が美しく空気も美味しく、時折、天気も変わりやすかったが過ごしやすい気候ではありました。電気が通らない生活が今の日本では考えられないが、このような文化を体感しておくのもまた滅多にない機会ですので、本当に来て良かった思います。クロロの人たちも老若男女みんな優しく、初対面なのに愛想よく接してくれて楽しい時間を過ごさせていただきました。子どもたちと折り紙の手裏剣やフリスビーで遊んだり、久しぶりに子ども時代を思いだしました。

クロロ集落でのコーヒー豆の収穫は今年は例年より豊作で早く収穫してしまったとのことでした。でも収穫の体験して思ったことは、このコーヒー豆もブルーベリーのように一つ一つ摘む作業は根気のいる作業だと実感しました(私の町はブルーベリー産地です)

食事の下ごしらえ、村人とのダンス、コーヒー豆の収穫、ほんとに貴重な思い出になりました。

今回のツアーで感じたことはティモールの方達を見て子どもから大人までありのままで堂々としている姿、みんな真剣に今を楽しんで生きようとしてる姿が僕の目にはまぶしかったです。僕も見習わないといけないと思いました。

ティモール最終日にデパートで買い物を済ませて出口を間違えた時、タマゴを売っていた子どもから親切に出口を教えてくれて手でグッドをしてくれたことに心を打たれました。

今回のツアーでの経験はほんとにお値段以上と感じました。またご縁があればパルシックさんの企画を通して、ティモールに足を運びたい気持ちが芽生えてきた気がします。それほど、ティモールの方々はいい人ばかりです。この旅の経験を通してなにか身近な生活の中で取り入れられるものはないか、また人の役に立てることがしたいと思うキッカケにもなりました。この企画を立案してくださったパルシックさんに感謝しています。良い旅をありがとうございました。

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クロロでの最後の夜、大きなスピーカーをレンタルして、ダンスパーティを開いてくれました

ロロサエの東ティモールコーヒー生産者を訪ねる旅

自家焙煎コーヒーノキ(福島市) 小林みゆきさん

2023年9月末、福島市で長女と自家焙煎コーヒーノキを開店した。ドリンクのコーヒーは東ティモールのマウベシ郡コカマウ組合の豆を、浅煎りから深煎りまで焙煎している。

百聞は一見に如かず。コーヒー生産者の家に民泊し、収穫を体験することで、コーヒーだけでなく生産者の生活について、「情報」以上の見聞を深めることができた。

<想像以上の悪路>

バリ島経由で東ティモールの首都ディリへ。ディリから車で2時間マウベシ村へ、さらに徒歩で2時間。馬糞とぬかるみを避け、川の浅瀬を数度渡り、マウベシ郡アイトゥト村クロロ集落に民泊した。

標高1200mの朝夕は寒い。靴下を履いて首にタオルを巻き、寝袋の中で震えながら眠った。

翌朝、雨と思い外に出ると見事な快晴。雨音と勘違いしたのはコーヒーノキのシェードツリーの大木モクマオウの葉ずれ音だった。

斜面に背の高いコーヒーノキ畑がある。朝の散歩で前夜の雨でしとど濡れたコーヒーノキに、カタツムリを見つけた。東ティモールは「森で育つコーヒー」。素人目にみても、手入れが行き届いているとは思えない急斜面のコーヒー畑。生産性は低いだろうが、モクマオウの豊かな森が、サビ病耐性のコーヒーノキを生んだのかもしれない。

道路事情は想像していた以上にひどかった。陥没、がけ崩れ、川の洪水。今後も道路事情はさらに悪化しそうだ。行政の支援はないのか聞くと、「何もやってくれない。自分たちでやるしかない。1世帯25ドル出して道路を整えた。国の開発基金で近くに小学校を作り、マウベシ村まで通学する必要がなくなった。」

クロロ集落よりもマウベシ村からもっと遠い集落がある。生産者が毎年パーチメントコーヒーを「出荷する」ことの困難さを実感した。 

山の集落では乾季でも夜は雨が降ることを初めて知った。前夜の大雨で、帰路の車はぬかるみに数回スタックした。道路が舗装されていればパルシックの倉庫まで車で10-15分だろうが、皆で車を人力でひっぱりあげるのを手伝った。集落から付いてきたこどもたちが、道端で応援してくれた。

<東ティモール・生産者の持続可能性>

パルシック共同代表の伊藤淳子さんによれば、東ティモール2022年の国家歳入のうち、税収はわずか4.2%。「国は何もしてくれない」という農村の人は、税金を納めていないかもしれない。歳入の92%は石油や天然ガス基金。2030年代に資源の枯渇で基金がゼロになり、国家財政の危機が予想される。石油と違いコーヒーノキは再生する。持続可能性を考えたときに、コーヒーの方が資源として期待できるとは思うが、生産者の生活は豊かではない。

東ティモールの4人に3人は農民。自給自足を基本にコーヒーや豚を育て生活する。コーヒーでの年間の収入が300-500ドルで、公務員の1-2ケ月分の賃金程度。化学肥料を使わないので、土地当たりの生産量は世界平均の6分の1だという。完全無農薬・無化学肥料は、私たちにとっては大変ありがたいが、農薬・肥料の輸送が困難な上、購入するお金がない現実がある。

徒歩2時間のクロロ集落に身を置いて考えたことがある。クロロ集落で民泊したのは8人の子がいる若いご夫婦の家庭だった。小さいときに親が許嫁を互いに決めた。「彼らは一族です」と伊藤さんは言う。

国がナショナル・ミニマムを保障する先進国とは違う。自分が病気や老いたとき、頼りになるのは家族や集落の人たち。一方集落や家族にとっても、相互扶助という「社会保障」(持続可能性)しかないと考えれば、許嫁は合理的な慣習なのかもしれない。                   

<パルシックに期待すること>

2016年に東ティモールコーヒー協会が設立され、カッピングコンペで競争するようになったと聞いている。

「スペシャルティーコーヒー」は消費国側の評価。コーヒー市場は成熟し、付加価値の高い豆が破格の金額で取引される時代になった。カッピングコンペは、「外部の高評価」で注目されるチャンスではある。

私がパルシックに期待するのは、コンペ入賞より、「コカマウのどの農民の豆でも美味しい豆」を作る支援である。植民地支配450年の負の遺産は大きい。先進国とは絶対的にアンフェアな関係で、山奥の集落にはアクセスの、教育を受けられなかった農民は情報のハンデがある。支援の時間とお金は無限ではない。コカマウが集落間、組合員間で相互扶助の活動を強め、生産者が少しでも豊かになる支援をパルシックに続けてほしい。政府による積極的な支援策がない中でのパルシックの存在意義は大きいと思う。

旅立つ前夜、ホームレス支援の雑誌『ビックイシュー』を購入した。聞いてはいたが、首都ディリには、ホームレスや物乞いを一人も見なかった。インドネシアの弾圧で、すべての人が家族を失ったと言われる。孤児を引き取り育てている人もいるだろう。

目の前の困っている人を助けるのは当たり前。同じ「日出づる国」の驚くべき事実。困っている人に手を差し伸べるのは当たり前と考える文化がある。ホームレスがあふれる日本は別の意味で「貧しい」。

昨年長女は、マウベシ郡の違う集落を訪ね、生産者の「雨季が長く、雨量も増え、気候変動の影響をはっきりと感じる」と聞いている。気候変動でコーヒーの生産できる土地が半減する「2050年問題」がささやかれているが、生産者の環境は厳しくなるだろう。

東ティモールコーヒー生産者の「ビックイシュー(大問題)」は貧困と気候変動だ。彼らを支援するパルシックを通じて、生産者の生活をお客様に伝えていく。

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子どもたちにお土産のけん玉のやり方を披露。この後、子どもだけでなく、村長さんもドライバーさんも夢中に

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