ガザ緊急支援:冬服を820人の子どもたちに届けました
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2024年12月中旬、皆さまからのご寄付によりガザ地区中部でテント生活を余儀なくされている子どもたち820人に冬服の上下セットを届けることができました。ガザスタッフのタグリードから活動のレポートとお礼のメッセージ(タグリードからの手紙)が届きましたので、ご紹介いたします。
タグリードからのレポート
ガザ地区は2023年10月以降、15か月もの間イスラエル軍による大規模で激しい攻撃を受け、190万人が避難生活を余儀なくされており、前例のない人道危機に直面しています。ガザでは11月から3月にかけて寒さが厳しく、雨の日が続きます。簡易テントやシェルターで暮らす人びとの多くは十分な衣服や防寒具を持っておらず、激しい雨風にさらされながら、厳しい冬の寒さに耐えています。
2024年11月、中部デイル・アル・バラの複数の避難民キャンプからパルシックに越冬支援を求める声が寄せられ、テント生活を続ける子どもたち820人に暖かい冬服の上下セットを配付することになりました。この子どもたちはテントでできた仮設の学校に通っていましたが、本格的な冬が近づく中、着古した服しか持っておらず、寒さが厳しくなるにつれてテントの教室に通い続けるのが大変になっていました。
子ども服の配付はデイル・アル・バラ市内中心部にある洋服店を貸し切って行いました。パルシックが洋服店と契約し、店内に並ぶカラフルで様々なデザインの暖かいトレーナー上下セットの中から、子どもたちがお気に入りの一着を選べるようにしました。当日は、事前に伝えてあった時間に、子どもたちが保護者と一緒に来店しました。
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日本の皆さんに感謝を伝えたいとメッセージを書いてくれた子どもたち
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子どもたちから日本の皆さまにたくさんのメッセージを託されました
子どもたちは、洋服店のドアが開いた瞬間、勢いよく店内に入ってきました。新品の服を選ぶのが待ちきれない様子でした。保護者と私たちガザスタッフも一緒に子どもたちが欲しい色やデザインを探し、一人ひとりに寄り添って、子どもらしく好きなものを安心して楽しく選べるように、休む間もなく動き回りました。
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子どもたちは、自分の好みの一着を決めるまで何度も試着を繰り返し、ガザスタッフもサイズ選びや着替えをサポートしました
子どもを連れてきたお母さんのファイザさんは、「子どもたちに暖かい新しい服を選ぶ機会をいただき、親としてとてもうれしいです。長く続く戦争のなかで、子どもたちはお店で新しい服を買う楽しさを忘れてしまっています。そんな中で、私の子が楽しそうに好きな色の服を探している姿を見て、涙が込み上げました」とうれしそうに話してくれました。
もう一つ、思い出に残る出来事がありました。ある女の子が、淡いピンクの上着を握りしめて私に近づいてきて「自分が選んだ色をお母さんが認めてくれないので、代わりに説得してほしい」と頼んできたのです。私はお母さんのそばに行き、優しく話しかけました。お母さんはテント暮らしでは、淡い色はすぐに汚れが目立ってしまうことを心配していましたので、私は「今日は子どもたちに好きなものを選んでもらう特別な日ですし、娘さんは大切にして、きれいに着ると私に約束してくれましたよ」とつけ加えました。女の子の目が涙でいっぱいになったのを見て、お母さんは手に持っていた汚れの目立たない色の上着を横に置いて、「今日はあなたのために来たんだから、好きなものを選んでいいわよ!」と娘さんに言いました。女の子は手に持っていた上着を試着して「これが欲しいの!」と大喜びでした。
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お母さんを説得してピンクのお気に入りの服を選ぶことができて大喜びの女の子
子どもたちの多くは、うれしすぎて試着したまま新しい服を脱ごうとしませんでした。新品の服を着たままテントに帰り、兄弟や友だちに新しい服を見せたかったのでしょう。一日の終わりには、私も他のガザスタッフも精神的にも肉体的にも疲れ果てていましたが、子どもたちや保護者からたくさんの笑顔と、心温まる素敵な言葉をもらい、とても幸せな気持ちになりました!
今回はテントの教室に通っている子どもたちに洋服を届けることができましたが、店で配付をしている最中、外から「私も冬服が欲しい」という子どもたちがたくさん訪れました。冬服を必要としている全ての子どもに服を届けることはできませんが、もっと多くの人に役に立ちたいという思いが残りました。また、子どもだけではなくお母さんたちにも服を届けたいとも考えています。
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お気に入りの一着を決めて、日本の皆さまにお礼の絵とメッセージを書いた子どもたち
私たちが戦争以前の生活を取り戻し、復興を遂げるには、果てしなく長い道のりが待っています。皆さまからのご寄付は、15か月にわたる大量虐殺を生き延びた人びと、特にガザの未来を担う子どもたちに確かな希望をもたらすことができます。今後とも、温かいご支援にご協力いただけますと幸いです。
Arigatou gozaimasu!!(ありがとうございます)
(ガザ事務所 タグリード)