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シリア農村の地域再生を目指して~農業と小規模起業支援

  • 活動レポート
  • シリア国内避難民・帰還民の生活再建支援
  • シリア・レバノン・トルコ
  • 経済自立支援事業

みなさんこんにちは、レバノン事務所のアンソニーです。

レバノンのベイルートでは2週間ほど寒い日が続いましたが、最近は20度以上まで気温が上がっています。隣国シリアも同じような気候で、今後は晴天が続くことが予想されています。私たちは冬に植えた小麦が育つのを待つ間、小規模起業支援を開始しました。

シリアの現在の状況

シリアの暫定政権設立後、北部に避難していた人びとが、内戦により被害を受け破壊された家がある中部に帰還しています。アサド政権が崩壊したとはいえ、シリアの平和はとてももろい状況で、現在の政権が今後どのように状況に対処していくのかは未知数です。ラタキアでの衝突が表わしているように、シリアの平和が真に確立されるためにはやるべきことがたくさんあります。

他方、北東部のクルド勢力は中央政府下に入ることに同意しました。シリア国家には多くの政党が関与しており、分断されたシリアを一つにするには大変な努力が必要となるでしょう。

さらに、米国や欧州の経済制裁が一部解除されたにもかかわらず、シリア国内の貨幣の流通はいまだに良くありません。人びとは、月給100米ドル以下で経済的にとても厳しい生活を送っています。避難先から帰還してきた人びとは、家賃が高騰し(1か月の平均月収と同額)、住む場所に困っています。シリアの経済を活性化させるためには、長期的な投資や復興計画が必要とされています。

シリアの状況は依然として悲惨であり、国民の繁栄を取り戻すには多くのことをなす必要があります。

今年度の農業プロジェクト

今年度活動する村の農家の多くは、シリア危機の間に避難していた帰還民です。ほとんどの人が、家を破壊されていたり、財産を失ったりしています。また、参加する世帯の多くは、大勢の家族と一緒に暮らしており、中には12の家族が同居している世帯もあります。これらの家族はす​​べて、同じ土地の恵みを受けています。

活動地域では、冬は小麦を栽培します。しかし、今シーズンはいろいろな事情が重なり、植え付け時期の最後ぎりぎりに小麦の種を植えることになってしまいました。今年は雨が少ないですが、無事に小麦が育つことを私たちは祈っています。

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小麦が発芽しました

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小麦に肥料をあげています

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農家の方たちへの研修の様子

小規模起業支援

今年度の小規模起業支援の対象となった人たちは、全員が避難先から戻ってきた帰還民です。彼らのほとんどは財産も仕事もない状態で村に戻ってきました。彼らは非常にモチベーションが高く、また以前のビジネスで得た知識も持っており、研修では利益や資本、マーケティングなど、事業経営について学びました。

参加者は、2日間の集中的な研修で、事業計画を策定するために必要な知識を学び、村にあるニーズをきちんと把握し、自分がどのニーズに対応できるか見定めるようアドバイスを受けました。

研修の後に参加者から提出された事業計画書には、家畜の飼育、縫製や衣服のレンタル、鍛冶、電気系修理、飲食業など、さまざまなものがありました。提出された計画書からは、帰還民の方たちが自分のもともとの生業を再開し、村の人たちにサービスを提供したいという熱い想いが伝わってきました。

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研修の様子

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事業計画を作成する参加者の女性

最後に

シリアは現在、とても不安定な時期にあり今後どのようになっていくのかは分かりません。シリアの人たちが再び自分の足で立っていけるように、そして、地域の経済を再活性化し、持続的で安定した仕事を村で促進していきます。

(レバノン事務所 アンソニー)
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