特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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ガザ緊急支援:慢性疾患患者を支える家族に食料を届けました

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パルシックは停戦中のラマダン初日(3月1日)に、ガザ地区中部のアル・アクサ病院と協力して、慢性疾患である腎不全患者を支える133世帯に2週間分の食料を配付しました。この活動は、皆さまからの温かいご寄付で全額実施いたしました。ご支援くださった皆さまに心から感謝いたします。ガザスタッフのタグリードからレポートが届きました。なお、3月18日以降にイスラエルによる攻撃が再開されたガザの状況については、こちらの記事「ガザ、大規模な戦闘再開と今後の活動予定について」 をご覧ください。

タグリードからのレポート

ガザは多くの医療施設が部分的または完全に破壊され、電気や燃料も不足していることから、医療体制は崩壊寸前の状態にあります。けが人や急病人だけではなく、腎不全などの慢性疾患患者も深刻な影響を受けています。ガザ保健省によると、3月上旬時点で、ガザには週に3回の透析治療を必要とする重度の腎不全患者が約1,100人おり、そのうち38人は子どもでした。しかし、透析に必要な医療機器や医薬品、燃料が著しく不足しているため、治療の継続が極めて難しくなっています。

より命の危機に直面している人びとを救いたいとの思いから、パルシックはこのたび、皆さまからのご寄付で、アル・アクサ病院と協力して腎不全患者を支えるご家族133世帯に2週間分の食料バスケットを届けました。アル・アクサ病院によれば、透析患者に必要な鉄分やカルシウムの錠剤も入手が困難な状況です。さらに、安全な水の不足と食事を栄養価の低い缶詰に頼らざるを得ない状況は、腎不全患者の体調を一層悪化させており、その結果、戦争開始以降、多くの患者の命が失われました。このような厳しい状況のなか、りんごや新鮮な卵など、質の良い食材が入った食料バスケットは多くの人に喜ばれました。ラマダン初日に無事届けることができて、スタッフ一同、安堵しています。

私が腎不全患者とその家族から聞き取ったなかで、特に印象的だったアイマンさんとイスマエルさんのお話を紹介します。

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配付当日の受付の様子(左がタグリード)

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食料バスケットを受け取る男性(右はガザスタッフのアブダッラー)

4年間にわたり腎不全の治療を受けているアイマンさん

「私の名前はアイマンです。この4年間、腎不全と闘ってきました。戦争前から生活は大変でしたが、なんとかやってきました。週に2回、1回4時間の定期的な透析治療を受け、病院や医師の支えでなんとか生きてこられました。しかし、大量虐殺が始まってからすべてが一変しました。栄養不良ときれいな水が手に入らないなかで、合併症を発症し、今では週3回の透析治療が必要となりました。痛みと疲労感に苦しんでいます。戦争中、一緒に透析を受けていた知人のうち4人が亡くなりました。

パルシックから食料バスケットをもらう前は、腎臓に悪いと分かってながらも、食料不足で缶詰に頼らざるを得ない生活でした。いただいた食料バスケットには、鶏肉、卵、チーズなど、栄養価が高く身体によい食べ物が入っていました。この支援に、どれほど感謝してもしきれません。私たちのことを忘れないでくれてありがとうございます。」

腎不全の夫イスマエルさんを支えるサミラさん

「私の名前はサミラ、52歳です。夫はここ14年間にわたり腎不全を患っています。戦争以前は透析治療を受けていました。こんな過酷な状況になるとは想像もしませんでした。この大量虐殺中に、私は息子のうち2人を失い、もう1人の息子はイスラエル軍にガザから連れ去られ、今もイスラエルの刑務所に拘留されています。

私は夫をアル・シファ病院に治療のために連れて行きますが、交通手段がなく、何時間も夫の古い車椅子を押して歩かなければなりません。戦争開始以降、アル・アクサ病院は、ガザ地区で数少ないなんとか機能している病院の一つのため、いつも患者であふれています。夫の叔父も腎不全を患っていましたが、治療が受けられず、必要な薬を手に入れることもできず、命を落としました。

戦争が始まってから、私たちには手が出せないほど食べ物はとても高価になりました。命を繋ぐために他の支援団体からの炊き出しに頼っていましたが、ナトリウムやカリウムを多く含んでおり、夫の体には適していませんでした。今回いただいた食料バスケットは、これまで受け取った中で最高のものでした。」

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配付した2週間分の食料。栄養価が高く、品質の良い食品にこだわりました

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パルシックが支援する女性組合員が作った新鮮なチーズも食料バスケットに含めました

日本の皆さまからの温かいご寄付により、栄養価が高く質の良い食料バスケットを配付することができ、受け取った人びとはとても喜んでいました。改めて、皆さまに心から感謝いたします。そして、今後もますます厳しい状況に置かれて苦しむ人びとを支えられるよう、日本の皆さまからの温かいご寄付へのご協力をお願いいたします。

(ガザ事務所 タグリード)

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