発災から2か月:トルコ・シリアでの活動報告
- 活動レポート
トルコでの活動
トルコ・シリア地震の発生から2か月が経過しました。現在トルコではイスラム教徒たちが日の出から日没まで断食をするラマダンの期間になっています。3月23日からラマダンは始まり、1か月続きます。去年までであれば、ラマダンの期間は、日没後の食事(イフタール:Iftar)は家族や友人たちと一緒に食べ、街のいたるところでクリスマスのように蛍光の飾りがあり、夜はネオンがとても美しく、イスラム教徒とっては1年で一番楽しみにしている期間でもありました。ただ、今年は、被災地では被災した人を思って飾りつけを自粛したり、毎年一緒に食事していた人がいなかったり、いつもと違ったラマダンの様子が見受けられます。
先日、ゼンショーホールディングスの職員6名が、パルシックの活動先に派遣され、一緒に炊き出しなどの支援活動を行いました。今回はその様子をご報告します。
参考:【ゼンショーHD】トルコ・シリア地震支援 ゼンショー社員が被災地で炊き出しに貢献(プレスリリース)
現在滞在しているガジアンテップ市には、被災者に配る食事を作る給食センターのような大きな施設があります。この施設は、シリア内戦でシリアの人たちがトルコに避難してきた時から食事を作っていて、1日最大30万食作ることができます。ラマダンの期間中は毎日5,000食を作り、ガジアンテップ市内の生活困窮世帯に対して、食事を提供しています。
大きな鍋でスープを作る
出来上がった料理をパッキング
震災で調理施設が壊れてしまった近隣のアディヤマン市からの支援要請を受けて、ガジアンテップ市職員が調理器具をアディヤマン市に持参し、ラマダンの炊き出しを手伝ったりもしていました。
アディヤマン市の公園。ガジアンテップ市のキッチンカーが派遣され、公園内のテントで生活する被災者へ毎日食事提供をしている
同じく公園に設置されたガジアンテップ市役所の炊き出しテント。ここで毎日6,000食が作られ、市内の被災した世帯に届けられる
ゼンショーホールディングスの職員と私は、ガジアンテップ市の調理施設とアディヤマン市での炊き出しをお手伝いました。ラマダン期間中のお腹の空いている時間帯に調理をすることはイスラム教徒には簡単なことではありません。しかし、被災した人たちはこの炊き出しを生命線としているため、市の職員さんたちは大変な作業を愚痴もこぼさず、もくもくと作業していました。
炊き出しの料理。ご飯と具沢山のスープにデザート
日没後、私たちも一緒に食事をいただきました
アディヤマン市では、避難テントと炊き出し用のテントが同じ敷地にあったため、テント生活をしている人たちと交流をする機会がありました。大変な生活環境の中、多くの子どもたちから、早く学校に行きたいという声を聞きました。
被災した県でも被害が比較的少なかったガジアンテップ市では学校はすでに再開していますが、被害の大きかったアディヤマン市では学校も被害を受けたため、まだ再開していません。他の被害の大きかった地域では、大きなテントを設置して授業を一部再開したりしていますが、それでもテントが足りず、週1回の授業だけなどとなっています。特に被害の大きかったハタイ県、カハラマンマラシュ県、アディヤマン県、マラティア県で学校に大きな影響が出ています。
炊き出しのテントの中が気になって、覗き込んできた子どもたち
アディヤマンの子どもたち
今後も、こうやって他の活動にも参加しながら、ネットワークを広げ、多くの人の声を聞き活動を続けていきます。
(トルコ駐在 大野木)
シリアでの活動
地震によりシリア国内では、880万人以上が影響を受け、35万人が避難を余儀なくされていると推定されています。長引く紛争の影響により、震災前から人口の半分以上が、家族が生活するために必要な食料を十分に得られず食料不安の状態にありました。地震の影響により物価はさらに上昇し、さらに生活に必要な物が入手しにくい状況にあります。
そのような状況下で多くの方にご寄付をいただき支援を届けることができていること、皆さんからの温かい気持ちに心から感謝いたします。
シリアでは、医療品の調達及び配布に続き、在宅被災者と避難所で暮らす被災者にストーブと衛生用品を配付しました。
まだまだ寒い日が続いていたのでストーブは大変喜ばれました
ストーブを搬出する様子
1世帯ずつ配付登録を行いました
ストーブを持ち帰る親子
家屋が全壊したり、大きな被害を受けたりして住めなくなった家族は、テントで避難生活を始めましたが、雨風をしのげる以外に何も揃っていないため、いただいたご寄付で寝具を調達しました。
避難テントの中は仕切りもありません
調達したマットレスを避難テントに設置する様子
3月後半から、トルコ、シリアではラマダン(断食月)が始まりました。 ラマダンの間、イスラム教徒たちは日の出から日没まで断食をします。イスラム教徒にとって1年で一番神聖な月で、日没後には親族で集まり食事を楽しみ、お祭りのような雰囲気があります。
シリアおよびトルコではラマダンに合わせて食料バスケットの配付準備を進めています。 地震発生から2ヵ月が経過し、徐々に日常を取り戻しつつありますが、復興に取り組むにはまだまだ時間がかかります。
引き続き、皆さまからのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
(パルシック東京事務所 小栗清香)
*この活動は皆さまからのご寄付で実施しています。