震災から半年 家屋修繕 シリアより
- 活動レポート
トルコ・シリア地震の発生から半年が経過しました。
シリアには邦人の入域が出来ないため、パルシックは提携団体を通じて遠隔でシリア北部での震災支援を行っています。震災直後は、緊急支援として、医療や食料支援を行ってきましたが、現在は、震災により軽微破損した家屋200世帯の修復支援を行っています。
今回の震災で、シリア北部では、約1万軒の建物が崩壊し、約4,500人が亡くなり、約1万人がけがを負いました。2011年から始まったシリア紛争の影響を受け、震災以前からシリア北部だけで450万人の人口のうち、300万人が紛争により家を失い避難民となった人たちが生活していました。シリア国内の経済も紛争および欧米諸国の経済制裁により悪化し、シリア北部では330万人が食糧支援を必要としている状況で、震災前からすでに生活は厳しい状況でした(※1) 。
台所の地震被害の様子
壁の地震被害の様子
パルシックは、震災により軽微破損し修復が必要な世帯への支援を行っています。建物の構造上の破損でない部屋の壁に少しひびが入ったり、レンガの壁が一部崩れたり、窓が割れたりと、なんとか家に住み続けることは可能ですが、修復支援をしているどの世帯からも「今は平気でも自分たちで建てた家のため、次に大きな地震が来たら今度は倒壊するのではと心配」という声を聞きました。中には心配になりすぎて修理されるまでは近所の親類の家もしくは、テントで生活している世帯もあります。シリア北部の人びとにインタビューをすると、今まで今回のような大規模の地震を体験したことがなく、震災によるトラウマを負っているのだと感じられます。震災前から内戦の影響により壊れている家も多く、修繕希望者の中から対象者を絞るのに時間がかかってしまいましたが、対象者の選定が終わったところから随時修繕を進めています。
修復作業の様子
もともと経済的に厳しい生活状況があったため、修復を行いたくても、収入がなく修復ができない世帯や、家以外の行き場所がない世帯は、被害のあった部屋だけ使わず生活を続けていますが、常に不安を抱える毎日があり、今回の修復支援の対象になった世帯からは、これでようやく安心して暮らしが再開できると、期待の声を多く聞きました。現在、日中の気温が40度まで上がり修復作業は大変ですが、被災者が一日も早く安心した生活を再開できるよう、熱中症に気を付けながら修復作業を行っています。
シリアでは、これから食料配付を行うための準備を進めています。震災から半年経過しましたが、前述の通り、元々多くの国内避難民が国連や NGOなどの支援を受けながら生活を続けていたため、被災者の生活再建はほとんど進んでいません。食料を配るだけでは状況は改善されませんが、それでも差し迫って食料が必要な状況で、必要な支援を届けながらどのように生活再建に繋げていくか、悩みながら活動を続けています。引き続き皆さんには活動を見守り、心を寄せていただけると嬉しいです。
※1.OCHA, North West Syria: Situation Report (21 July 2023), P1, 21st July
(トルコ事務所 大野木)
この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。