特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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震災から半年 被災地の日常と課題 トルコより

  • 活動レポート

*このレポートは7月中旬の被災地の様子です。状況は変化しておりますので、また随時ご報告させていただきます。

トルコ、シリア地震から半年が経過しました。これまで東京から現場の活動をサポートしてきましたが、7月に実際にトルコの被災地を訪問してきた様子をレポートします。

にぎやかな街なかに瓦礫やテントが混在する被災地

東京からトルコのイスタンブールを経由してガジアンテップへ。被災地の一つ、トルコ南東部の都市ガジアンテップは一見すると地震の被害があったとは思えないほど、日常を取り戻していました。

しかし、ガジアンテップから車で1時間程のところにあるパルシックの活動地域カフラマンマラシュは未だにテントで暮らしている被災者が多く、復興にはまだまだ時間がかかるなという印象を受けました。

空き地や人が通るような大通りに建てられたテント、回収されていない瓦礫の山に最初こそ違和感があったものの、二度三度と同じような光景を見ると見慣れてきて、そこに住む人にとっても日常に馴染んだ当たり前の光景になっているのではないかと感じました。

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カフラマンマラシュ市の街。商店も開き日常を取り戻している様子

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瓦礫が取り除かれた更地、瓦礫が残ったままのところ、崩れた建物が点在している

カフラマンマラシュ市郊外にはトルコ政府が設置したコンテナの避難所が開設され、避難所に入居できた人は衣食住のサポートが受けられます。

一方で、カフラマンマラシュ市内に点在するテントはInformal Settlement(非公式テントサイト)と呼ばれ、被災者自らが支給されたテントやブルーシートなどで6畳にも満たないようなテントを立てて生活しています。 日中は30℃を超す暑さで、テントの中は熱がこもり蒸し暑く、道端にソファーを出して涼む人もいました。

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空き地に立てられた非公式テントサイト

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テントの外で過ごす人

テントで暮らす支援が届きにくいシリア難民

カフラマンマラシュ市内の非公式テントサイトに暮らす人の多くはシリア人です。 それにはいくつか理由があります。

  1. 政府が開設した避難所は、トルコ人の脆弱世帯(高齢者や女性が世帯主の世帯など)が優先的に入居出来る。
  2. 避難所は主に郊外に設置され市内からアクセスが悪く、どこに住むか選べないため、親族や友人と離ればなれになることを恐れ、自分たちでテントを立ててグループで暮らしている。同じシリア人同士まとまって暮らすこと、小さなコミュニティがあることは、異国の地で暮らす難民にとって重要なセーフティーネットになります。
  3. テントで暮らす被災者には政府から毎月3,000トルコリラ(約16,000円)の住居助成金が出るため、中には罹災調査で軽微破損と認定され住めることが確認されているが、住居助成金を目当てにテントで暮らす世帯もある。収入源が限られたシリア人にとっては貴重な現金収入となります。(勿論、家が住めないほど損壊し、家を借りるお金がないためやむを得ずテントで暮らす世帯もたくさんいます。)
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郊外の大学に設置されたトルコ政府公設の避難所。設備は整っているが、幹線道路沿いのアクセスの悪い場所に設置されているところが多い

その他にも、各世帯によって様々な事情がありますし、一概にテントで暮らすシリア人の背景を伝えることは出来ませんが、非公式テントサイトは政府公設の避難所とは違い、トイレやシャワーもついておらず不衛生な環境、炊き出しや食事の支援もないため全て自分たちでどうにかする必要があります。

トルコ政府は国籍に関わらず被災者に支援を届けていますが、やはりトルコ人の方が優先される点、NGOが活動するには県からの活動許可が必要ですが、シリア難民への支援は優先度が低く許可を取ることが難しい点から、非公式テントサイトで暮らす被災者に支援を届けにくいという課題があります。

農村部の被災地の状況

カフラマンマラシュ市内から東に車で1時間ほどのところにあるリンゴが名産のギョクスン郡を訪問しました。パルシックがいただいたご寄付で食料(小麦粉)を配付したアハメットチック村を訪問すると村長が温かく迎え入れてくれました。

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アハメットチック村の崩れたままの家

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村長に案内され被災した家を一軒ずつ回った

ギョクスン郡の農村部アハメットチック村は、損壊した家が多く、45世帯が家の近くにテントを建てて暮らしていました。村長は「罹災調査により全壊や重度損壊と認定された家は、自分たちで取り壊すように言われ、今後どのような支援が受けられるかもはっきりしない中、そんなことを言われどうしたらよいんだ」とやり切れない様子でした。

カフラマンマラシュ市内から離れた郊外や農村部も支援が届きにくい地域です。パルシックが食料を配付しに行くと、こんなところに来てくれるなんてと喜ばれ、必要な支援を届けることはもちろんのこと、日本から心を寄せている人がたくさんいることを示すことも大事だと感じました。

トルコ政府は復旧・復興に向けた避難所の設置や被災者への支援制度を急ピッチで整えていますが、今回の地震により、トルコでは5万6,000人が亡くなり、規模の大きさから半年経っても十分な支援を受けられていない人が多くいることが分かりました。

これまで活動許可の取得の難しさやニーズがあるのに届けられないもどかしさを抱えながら活動を続けてきましたが、復興にはほど遠い被災地の様子を目の当たりにし、試行錯誤をしながらも生活再建に向けた必要な支援を届けていく必要性を強く感じました。

引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

(東京事務所 小栗清香)

※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。

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