シリア:震災から1年。より多くの人に届けられる支援を
- 活動レポート
2023年2月6日にトルコ南東部をマグニチュード7.8の地震が襲ってから1年以上が経過しました。この地震でシリアでは5,900人以上が死亡、35万人以上が避難しました。地震から1年経った2024年2月時点で、未だに4万8,000人以上が避難生活を送っています。さらにシリアは今回の地震以前から、過去10年以上にわたる内戦や経済悪化の影響で、全土で1,670万人以上が人道支援を必要としている状況にあります。
パルシックは、震災直後からシリア北部での支援を開始し、最初は食料配付や医療の支援を、そしてこの半年は、地域全体にサービスを届けるために、インフラ分野における支援に重点を置いて活動してきました。震災により破損した給水施設、水道管、排水管の修繕、軽微破損した学校の修復を実施しました。
地震で下水管が破損し排水が生活道路に漏れている様子
下水管設置作業の様子
給水施設にソーラーパネルを設置
地域の人たちの水道代の負担を減らすため、給水施設にソーラーパネルを設置しました。これにより水道代を50%以上削減することができました。この活動は、少しでも家庭の支出負担を減らすことで、生活状況の改善に役に立ちたいという思いを込めて行いました(シリアの貧困率は90%以上です)。支援地域のお母さんたちから、「水道管が地震で破損して給水塔からの配水が止まってしまったため、高価な水を購入していましたが(物価上昇の影響で普通の飲料水も高価)、給水設備の修繕により、今後は高価な水を買う必要がなくなりとても感謝しています」との声をいただきました。
整備された給水施設と新たに設置されたソーラーパネル
学校の修繕
学校の修繕では、7校の校舎修繕を行いました。震災後は、どの学校も壁や扉、窓に少しひびが入っていたり、レンガが少し崩れたりしていました。しかし、軽微破損だったため、そのまま、その校舎を利用して授業を再開していました。ただ、多くの生徒は今回の震災で建物が崩壊した映像をテレビやSNSで何度も見てきているため、次の地震が起これば自分たちの学校も潰れるかもしれないという不安の中で、授業を受けていました。そのため、生徒の授業に対する集中力が震災後なくなっていることや、そこで授業をおこなう先生たちも不安を抱えて毎日を過ごしていました。校舎の修繕後は、震災以前のように生徒たちの集中力が戻り、生徒も教師も安心して毎日を過ごせているという安堵の声をいただきました。また、破損している校舎に我が子を通わせていた親からも、これで安心して子どもたちを学校に通わせることができほっとした、という声が多く聞かれました。
地震により校舎の壁の一部が崩れた様子
教室の修繕前の様子
教室の修繕後の様子
シリア北部では、この半年の間にも空爆であったり、冬の大雨であったりと、震災以外にも多くの支援が必要とされています。そのような状況下で、皆さんからの温かいご支援をいただき、多くの方に必要な支援を届けることができました。どうもありがとうございます。
また、引き続き困難な状況下に暮らすシリアの人びとに心を寄せていただけると嬉しいです。
(トルコ事務所 大野木)
*この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。