特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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女性グループで行う羊の酪農:地産地消と収入向上をめざして

  • 活動レポート

2018年初め、外務省NGO連携無償資金協力の助成を受け、ガザ地区で新しい事業、ガザ南部における酪農を通した女性グループの生計支援を始動しました。この事業を通して、ガザ地区南部のラファ県で、女性を稼ぎ手とする世帯120世帯を支援します。

ラファ県は戦争や貧困の影響で、ガザ地区の中でも特に社会的脆弱層の多い地域の1つとなっています。ガザ地区では約1割が女性を稼ぎ手とする世帯(夫を戦争などで亡くしたケース、シングルマザー、男性の稼ぎ手が病気や障害などで働けないケースなど)といわれますが、女性の失業率は6割近く(ガザ地区の平均失業率は43%)、その貧困が喫緊の課題となっています。事業では、貧困ライン以下の収入で生活している女性を稼ぎ手とする世帯を中心に、酪農生産・乳製品の販売活動を通した生計向上を目指します。

パレスチナでは、高額な飼料代が畜産を営む農家の負担となっており、生産コストの7割が飼料代ともいわれます。また、ガザ地区全域で深刻な水不足や地下水の塩水化が農業にも深刻な影響を及ぼしています。これらの問題に対応するため、女性グループとともに、飼料コストを抑えながら水の節約ができる、水耕栽培技術を用いた飼料の自家生産にも取り組みます(水耕栽培は、土に吸収される水が少ないため、農地で行う栽培より水を節約できます)。

ガザ地区はイスラエル-パレスチナの政治的状況や、2007年より続く封鎖により物資や人の移動が厳しく制限されています。他方、ガザ地区の酪農や農業で使う飼料、農薬や化学肥料、有機たい肥などはその多くをイスラエルや海外からの輸入に依存しています。不安定な流通は生計を大きく左右し、結果として生産者たちは脆弱な立場に置かれています。イスラエル市場への依存率を下げ、生産・生計の安定化を図るために、とりわけガザ地区では飼料の自家生産や、生産と消費の循環を生み出す“地産地消”の促進が求められています。

この事業のステップは3つ。6人メンバーからなる20の女性グループを対象に、羊小屋を建設して羊の飼育をスタートすること、水耕栽培技術を用いた飼料(大麦)生産コンテナを設置すること、そして女性たちがチーズやヨーグルトなどの乳製品の生産を行い、収入を得ることです。

現在は、事業告知を対象地域であるラファ県アルナセル村、アルショカ村と周辺地域に張り出し、住民に対する事業説明会と支援を希望する世帯の受付登録を始めています。

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事業告知を商店に掲示するスタッフ

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参加を希望して詰めかけた女性たち

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3月に実施したアルナセル村での事業説明会

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アルショカ村で女性たちの情報の登録を行うスタッフ

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データ入力を手伝うガザ事務所のボランティアさん

(ラマッラー事務所 ヤラ)

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