特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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ガザ、新型コロナウイルス規制下での女性グループの活動

  • 活動レポート

365平方キロメートルのガザ地区には、約200万人が暮らしており、その住民の多くは過密状態の難民キャンプに住んでいます。 人口密度は約5,203人/平方キロメートルと、世界で3番目に高く、ソーシャルディスタンスを確保することは困難です。住民の約70%が難民としてUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に登録されており、 UNRWAと国内外の支援機関からの、食糧、水、シェルター、医療、教育、雇用の支援が不可欠です。ガザ地区は14年にわたり、イスラエルの行う壊滅的な軍事封鎖で疲弊し、日々の停電に加え、深刻な医薬品・医療用品不足に苦しめられています。

2020年8月24日、ガザ地区内で新型コロナウイルスの市中感染により感染者数が増加していると発表されました。ガザ市で、同じ家族の中から4人に陽性結果が出たためです。人びとは食料や衛生用品を買いだめするためにスーパーマーケットに殺到しました。 この事態を受け、人口密集地域であるガザ地区での感染拡大を抑制するために、午後8時から午前8時までの夜間外出禁止令が課されました。 11月12日の時点で、ガザ地区だけで44名の死亡者を含む9,542名が新型コロナウイルスに感染し、医療関係者は感染者数の増加を懸念しています。 保健省によると、ガザ地区では47%の医薬品、33%の医療器具、研究機関と輸血バンクの供給の65%が不足しており、実際、新型コロナウイルス検査に使用されていた2つの医療機器のうち1つは、薬品不足により使用停止となりました。

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コロナの直接的な脅威だけでなく、経済への影響が、もともと物資の供給やサービスへのアクセスが制限されていた人々に大きな打撃を与えています。 8月の感染拡大前でさえ、特に中小企業を中心とする多くの企業が数ヶ月のロックダウンに耐えることができず、多くが廃業を迫られました。4,000人近くが職を失い、少なくとも50の工場が閉鎖されました。また、10,000人以上のタクシー運転手が大幅な収入減に直面しました。 学校や大学は数か月間休校となりました。長時間の停電により、オンライン学習は非常に困難です。さらに、ガザ地区に蔓延する絶望感は悪化し、性暴力やその他の暴力、うつ病、薬物使用、および自傷行為などが著しく増加しています。特に宗教を重んじるガザ社会ではタブーである自殺の増加が顕著です[1]

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畜産業も大きな打撃を受けました。夜間外出禁止令と移動制限に加え、各地域で毎週開催されていた家畜市場が閉鎖されました。普段は各県ごとで異なる曜日に家畜市場が開催され、そこでは畜産農家が家畜や乳製品などを販売し、家畜用の飼料や医薬品を購入していましたが、現在はそれができません。パルシックが支援している女性畜産グループも、獣医サービスや、飼料購入に非常に苦労しています。しばらくして、制限の一部が緩和され、獣医に移動許可が下り、羊小屋を訪問診療することはできるようになりましたが、訪問診療は通常よりも料金が割高で、畜産農家にとって厳しい出費となっています。

ヤスミーンとサブヒーヤ、アルショカ村No.13グループのリーダーと出納係

私たちの状況は新型コロナウイルスの感染拡大以前から厳しいものでしたが、いまや、さらに難しい状況となっています。移動規制の中では飼料や家畜用の薬を購入しに行くのも簡単ではありません。夜には完全外出禁止令が出ているので、夜間に羊に何かあっても、獣医のところに行くことも獣医が来てくれることもできないのです。ほかにも、私たちが生産している緑肥(羊のエサの一つ)を他の女性グループに届けることも大変です。以前は毎日届けていたところ、今は移動規制のせいで週に2回に限定しなければならなくなりました。

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エクラム、アルショカ村No.23グループリーダー、設立申請中の女性組合代表

私たちのコミュニティで女性として羊の畜産を経営していくことは極めて大変なことです。羊の世話をし、飼料を購入し、獣医とコミュニケーションをとって、マーケットに出向き家畜販売業者と交渉することが、事業を続けていく上でこなさなければならない日々の仕事なのです。移動規制は私たちの仕事を阻害しています。そんな中だからこそ、私たちは何とか代替策を見つけ、女性畜産農家として、互いに支えあっていかなければいけません。

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ヒンドゥ、ナセル村郊外グループNo.39リーダー

羊を売ろうにも地元の畜産市場が閉鎖されているのです。そのため、羊の販売業者を私たちの羊小屋まで招いて売却していますが、このやり方だと販売価格が下がってしまいます。さらに、生乳やチーズの販売から得ていた日々の収入もなくなってしまいました。というのも、私たちには、毎日注文してくれたり、週に一度チーズを買ってくれる顧客がいましたが、移動規制が導入されて乳製品を届けに行けなくなってしまったのです。それに顧客の中にも私たちの製品から新型コロナウイルスが移るのではないかと懸念する人もいます。私たちの製品は手作りですから、衛生基準に則った工場製品にこだわる顧客が増えているのです。彼らは輸入品や工場で低温殺菌処理された生乳やチーズを好んで買うので、私たちのような小規模の事業経営は苦戦しています。

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[1] 出典:OCHA “Double quarantine in Gaza: COVID-19 and the blockade”

(ガザ事務所 サハル)

※この事業は外務省NGO連携無償資金の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。

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