パニカムの豊作と干し草作り
- 活動レポート
ガザ地区の小規模畜産農家の多くは、羊の飼料をイスラエルからの高額な輸入飼料に依存しており、大きな負担となっています。羊の畜産支援事業では、輸入飼料に代わって家畜のエサになるよう、イネ科のパニカムという植物を育てています。
ガザ地区では、パニカムは一般的な羊の飼料として市場に出回っていないため、この事業に参加するまで、農家の人たちはパニカムを栽培したことがありませんでした。2022年10月から始めた栽培では、これまで4回ほど収穫を経験しました。多年生植物のパニカムは年に8回ほど収穫が可能ですが、収穫量が増えるのは5月から11月です。この間に少しでも多く収穫できるよう、農業専門家と水やりの頻度や肥料の量について話し合いを重ねながら、農作業に取り組んでいます。その努力の甲斐があって、パニカムの収穫量は増えつつあります。7月中旬、収穫を喜ぶ参加農家の皆さんから写真が届きました。
パニカムが背丈よりも大きく育ちました(Maherさん)
豊作を喜ぶElianさん
闘病生活を経て事業に復帰したJehadさん。人一倍の意気込みを語ってくれました
収穫の後、参加農家たちはパニカムを青草のまま与えるものと、干し草にするものとに分けます。青草は栄養価が高く、農業専門家によれば羊にとって味もおいしいので、羊は青草のままパニカムを食べるのを好みます。一方で、豊作期以外の12月から5月に与えるための備蓄飼料も必要です。そこで、パニカムの収穫量を測って干し草用に分け、1ヶ月間ほど外干しして乾燥させます。乾燥したパニカムは農業用粉砕機で細かく粉砕し、袋に入れて保管します。
パニカムを計量するElianさん
収穫したパニカムの一部を1ヶ月ほど外干しして乾燥させます
干し草は14kgごと袋に詰めて冬期の備蓄飼料として保管します
羊の飼料を説明する畜産専門家(Mahmoud)
保守的な地域のため、研修は男性と女性が別の時間に受けられるように実施しています
今年の豊作期が終わる11月までに少しでも多くのパニカムを収穫できるよう、参加農家はがんばっています。そして、一年を通じて羊に安定的にエサを与えられるように、パニカムで干し草を作り、収穫量が減る冬に備えます。冬の到来を前に、残りの期間でどれだけ収穫できるか楽しみです!
(西岸事務所 吉田)
*この事業は日本NGO連携無償資金協力の助成と皆さまからのご寄付により実施しています。