レバノン:2018年 新学期開始
- 活動レポート
2018年の新しい年度が10月からスタートしました。
授業の合間の休憩時間、クラスから飛び出した児童たちは、思い思いに仲の良い友達とじゃれ合い、おしゃべりし、さまざまに工夫して遊びまわります。その休憩時間は自宅から持ってきたおやつを友達同士で分け合い食べるグループも多く、しばしば自身のグループから離れた場所から見守る教員や筆者のところまでわざわざやってきて、「どうぞ」といって当たり前のようにおやつを分けてくれようとします。難民キャンプに暮らし、収入手段の限られた彼らの生活の中でも、自身の持つものを分け合い、他者の事を気に掛けることを当然のように考えられる、シリアの人びとの温かさが垣間見える瞬間です。
休憩時間、外で遊びまわる児童たち。
レバノンでの難民への教育支援の現状
そのような高い人間性を持つシリアの人びとが強く求めるものはやはり、子どもたちへ教育を受ける機会を与えることです。しかしながら、シリアからの難民を受け止め続ける負担が既に飽和状態に達し、シリア難民の帰還を推し進めようとしているレバノン政府にとっては、脆弱な自国の生徒への支援も十分に行えていない中で、シリア難民の児童を今後継続的に公立学校で受け入れていくことは非常に困難な状況にあります。シリア国内の復興への各諸外国からの関心・支援がより多くなる中、レバノンでこれまで続けられてきた、国際NGOによる教育支援事業は縮小する傾向にあります。また、シリア難民を公立学校へと編入できるよう支援する政府による教育プログラム(Accelerated Learning Programme)への新たな児童受け入れは実施されていません。シリアに帰還したくとも、帰還後の安全・生活がまだ不透明な状況の中で、難民として暮らし続けるほかないシリア難民の人びとにとって、レバノン国内・国際NGOによる教育支援事業の役割が今まで以上に重要となってきています。
かけ算の問題に取り組む児童。
とても綺麗に書かれた自身のノートを見せてくれた児童。
パルシックとしてできること
レバノンにて教育事業及び食糧・越冬支援をこれまで行ってきた団体として、このような厳しさを増す難民の状況の中で、教育事業における高いニーズを出来る限り満たしたいと考えています。児童の成長を支えることにより、彼ら自身の未来への希望を育むと同時に、彼らのご両親、ご家族に希望を与えられるような事業を目指していきます。
(レバノン事務所 宮越)