私たちに光を
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2021年2月1日にミャンマーでクーデターが起きてから3年が経ちました。
ミャンマーの歴史上、このような軍事クーデターは、1962年、1988年につづく3回目です。つまり、1962年より前に生まれた人にとっては、人生で3回目のクーデターになります。それだけでなく、独立を宣言した1948年以降、現在までずっと、ミャンマーは内戦状態にあります。世界で最も長い内戦のひとつです。
2011年から2020年まで、ミャンマーの人びとは世界と繋がる機会を得ました。制限はあったものの、この10年間で、人びとは世界の空気を吸い、目を開くことができました。しかしミャンマーは再び軍事独裁政権の呪縛に囚われてしまいました。
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破壊されたTさんの家
軍事クーデターの直後から、人びとは軍に対して立ちあがりました。それは春の革命と呼ばれています。今回は、民族、宗教、ジェンダー、社会階層にかかわらず、あらゆるミャンマーの人びとが、非暴力や暴力などさまざまな手段を用いて、この独裁政権の呪縛と闘っています。最終的な目標は、独裁政権が終わり、人びとが自由や正義、公正さをもって暮らせる新しい国家を創ることです。
革命から3年が経ち、私たちは多くの進歩と、多くの悲劇を目にしました。
現在42の町は、軍事政権に反対する人びとの支配下にあります。ミャンマー軍が完全に掌握しているのは330の郡区のうち198のみです。一方で、4,500人の無実の市民が殺害され、26,000人が逮捕され、何千もの家が国軍に燃やされました。500回以上の空爆で、400人以上の市民が家を失いました。この被害にあった多くは、家や学校にいた女性と子どもです。
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空爆で破壊された学校
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空爆で破壊された学校
これらの悲劇について、ミャンマーの専門家ではない一般の人は、2つの集団がお互いに戦っている、ただの内戦だと思うでしょう。しかし実際には、これはただの内戦ではなく、事態はそう単純ではありません。これは、力を求める者と犠牲者との闘いであり、貪欲な者と平和を愛する者との闘いであり、不正と善との闘いであり、限られたエリートと大多数の一般市民との闘いであり、独裁と自由との闘いであり、腐敗と正義の闘いであり、抑圧する者と抑圧される者との闘いなのです。
このような闘いにおいて、独裁者は他の独裁者から援助を受けています。例えば、ミャンマー軍指導部はウクライナでの戦争が始まる前から何度もロシアに通い、ロシアからの軍事的な援助を受けています。タイの前首相も、ラオスやブルネイの指導者も、国軍を助けてきました。そして、ミャンマー国軍は、人びとを殺し建物を破壊するのには十分すぎるほどの資源を手にしているのです。
だからこそ、人びと、つまり、犠牲者であり、平和を愛する人びとも、平和と正義と公正を愛する世界中の人びとからの助けと支援を必要としているのです。世界は、悪と不正よりも強い光を示さなければなりません。そうでなければ、力を求める人びとはより攻撃的になり、さらなる力を貪欲に求め続けるでしょう。
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戦時下で生まれた新しい命。助産師さんの付けている医療用手袋は昨夏のクラウドファンディングで配付したもの
私たちが、正義と公正を愛する国際社会からの支援を求めるとき、それは必ずしも武器や銃を求めているわけではありません。確かに、そのような支援を絶対的に必要としている人もいるでしょう。
しかし、私たちが欲しているのは、人道支援であり、教育や医療の支援です。ミャンマー国内には262万人以上の国内避難民がいます。経済も医療も崩壊し、教育システムも機能していません。インフレにより、あらゆる物の値段が高騰しています。空爆もエスカレートしています。
これはグローバルな挑戦です。闇よりも光が強いことを、正義が悪に勝ることを、世界は示す必要があります。どうか、美しさと光が人びととともにあるということを示してください。そして、ミャンマーという国家のなかで動けない人びとを助けてください。どんな支援もとても効果的です。どんな支援であれ、それはミャンマーの人びとに、生きる理由と希望をもたらしてくれるのです。
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パルシックからの食料を受け取り談笑する人びと
(ミャンマー事務所 エベン・シアン)