クーデターから4年、“たどり着くのが難しい場所”へ支援を届ける
- 活動レポート
2021年2月1日の軍事クーデターから4年が経ちました。国軍による弾圧が招いた武力紛争はいまだに激しいまま継続し、1月27日時点で352万人が国内避難民となっています。
2023年10月27日以降、民主派と呼ばれる反政府武装勢力は次々に国軍基地を占拠し、支配地域を広げています。実際、昨年10月に国軍が国勢調査を実施できたのは国土の44%のみでした。反政府武装勢力同士の衝突や人権侵害、オンライン政権NUGの役割など課題はあるものの、国軍打倒のために戦う彼らを、多くの国民が支持しています。一方、国軍は徴兵制や出国規制を行い、戦力を確保しようとしています。さらに、反テロリズム法を改正し、民主派側を支援しようとしただけで逮捕されるようになってしまいました。国民が追い詰められていることは明らかです。
このような状況にありながら、国際社会の関心は高いとは言えません。2024年に国連機関が得られたミャンマー支援のための資金は要求額の34%にとどまりました。緊急支援を必要としているところに支援が届いていないのが現状です。
国連の報告書には”hard-to-reach”エリアという単語が出てきます。直訳すると、辿り着くのが難しい地域、あるいは(支援が)届きにくい地域ということになりますが、そこにも人は住んでいて、支え合って生きています。パルシックはこのような人びとと直接つながり、ミャンマーでの支援活動を実施しています。
新しく避難してきた人たちに毛布を配付
パルシックのこれまでの活動
パルシックと一緒に活動する現地の人びとは、パルシックが活動を開始する前から、そこで自助で人道支援活動をしていました。活動することで攻撃されたり逮捕されたりする危険は大いにあります。それでもなぜ活動するのかと聞くと「もちろん怖いし、できれば危険なことに関わりたくはない。でも、自分たちがやらなかったら誰もやらない。将来がどうなるかも分からない。だから今、自分ができるうちにやるんだ」。このような現地の人びとのおかげで、そして、寄付を通して活動を支えてくれる方々のおかげで、パルシックはミャンマーで活動を続けています。
- 2021年度
2021年11月から2022年3月まで毎月「~知る・繋がる~ミャンマー連続講座」をオンラインで開催し、毎回100名以上の方々にご参加いただきました。現在も年に数回ミャンマー講座を開催しています。講座のアーカイブはパルシックのYouTubeチャンネルで公開しています。
- 2022年度 (詳細はこちら)
ミャンマー国内で人道支援活動(食料・物資配付と教育支援)を開始。
・デモに参加し職を失った人および国内避難民279人に現金約6,500円(10万チャット)を配付 ・200人に新型コロナウイルス対策用の家庭用医薬品(マスク、経口補水液、消毒液、ビタミン剤など)を配付 ・747人に食料を配付 ・607世帯に食料と物資を配付(食料は7回配付) ・270世帯にブルーシートを配付 ・50人のボランティアの教師に謝金を支払い(7回) ・1,891人の子どもに文房具を配付 ・15校のコミュニティスクールに教科書や備品を配付 ・383冊の教師用指導書を配付 ・40世帯に浄水フィルターを配付 |
- 2023年度
ミャンマー国内での人道支援活動を継続、新たに医療支援を開始
・980世帯に食料を配付(100世帯に5回、500世帯に4回、100世帯に2回、280世帯に1回配付。回数が異なるのは、新規避難民が出るたびにニーズ調査をして支援対象者に加えたため) ・20世帯にビニールシートを配付 ・85人のボランティアの教師に謝金を4回支払い、教師用指導書を配付 ・80人の教師に教育研修を実施 ・1,400人の子どもに教科書を配付 ・800人の子どもに文房具を配付(記事はこちら) ・クラウドファンディングにより、医療従事者を支援 ・60人の医療従事者に謝金を提供(記事はこちら) ・10か所の小規模診療所および訪問診療チームに医薬品を配付(記事はこちら) |
- 2024年度
ミャンマー国内での人道支援活動を継続
・2,485世帯に食料を配付(240世帯に4回、100世帯に3回、2,145世帯に1回。回数が異なるのは、新規避難民が出た際や国軍による家屋破壊が起きた際など、事業開始後に発生した新たなニーズに対応したため) |
食糧配付の様子
・700世帯にビニールシートを配付(屋根や壁用) ・25人のボランティアの教師に謝金を支払い(4回) ・332世帯に毛布を配付 |
食糧と毛布の配付
パルシックは今後も、終わらぬ戦闘により、困難な状況にある人たちへの支援を続けます。また引き続き、ミャンマーへの理解を深めるためのミャンマー講座も開催していきます。ぜひ、これからもミャンマーの人たちへ、変わらぬご関心を寄せていただけますと幸いです。
食糧を受け取った女性
(東京事務所 ミャンマー事業担当)
*この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。