能登地震の発生から1か月が経ちました。

パルシックは、震災前から繋がりのあった能登町を拠点に活動を続けています。この1か月、断水や道路状況の悪さにより、災害ボランティアの受け入れが始まらない中、地域のために動く人たちにたくさん出会ってきました。

自ら被災しながら地域のために動く人

在宅被災者への物資配布拠点

能登町役場や多くの商店が集まる宇出津は能登町の中心地です。その宇出津でコーヒースタンドを営むDOYA COFFEEさんは、発災直後から近所にある洋品店ミセス・ヒノマルなどと連携しながら在宅被災者への物資の配布拠点を整備し運営しています。能登町内の商店は徐々に営業を開始していますが、一時は1日600人を超える人が訪れる日があったと聞いています。

宇出津のメイン通りにあるミセス・ヒノマル

商店が再開し始めてからは、週3日お店が開いていない時間を中心に運営されています

町内の情報交流の場

能登町では、町内の有志がLINEのオープンチャットグループを立ち上げ、情報交換の場として活用されています。オープンチャットは誰でも参加でき、友だち以外のユーザーとも交流できる仕組みになっています。非公式とはいえ、すでに1,300人を超える方が登録され、炊き出しの開催情報やお困りごとを投稿して誰かがそれに答えたり、自衛隊のお風呂の待ち時間を教え合ったり、様々なやり取りがされています。

町内でも端から端まで移動するにも車で1時間はかかり、集落が点在する町で情報交換の場として活用されています。

避難所の運営を担う学生たち

指定避難所では、高校生や大学生などが避難所運営や炊き出しスタッフとして携わっています。外部からのボランティアがなかなか入らず、高齢者の多い地域で、若い人が自身も避難生活を続けながら、他の避難者のために活躍しています。

鵜川小学校では学生スタッフが多く活動していました

農家民宿を避難所として運営

能登町には春蘭の里という農家民宿群があります。そのうちの一つ、交流宿泊所こぶしは、元小学校という施設を活かし発災直後から自主避難所として運営しています。農家民宿を営む多田さんは、自身の家業が大きな被害も受けながら、避難所を整えるために奔走してきました。

他にも、被災者でありながら、他の人のために活動する人にたくさん出会ってきました。

湧水や地下水を利用し水が使えるところでは、地域の人にお風呂を開放したり、お風呂に入れない人のために理髪店が無料の洗髪サービスを提供したり…。民宿を私たちのような支援者向けに開放したり、町内のボランティアに参加したりする方もいます。

能登は元々人の繋がりが強い地域で、日ごろから近所の人と声をかけあう関係性があるところです。大変な環境の中でもそういった支え合いの動きを見たり聞いたりして、本当に頭が下がる思いです。

能登町では、短縮ではありますが小中学校の授業が始まり、商店も再開し始めています。2月からはコンビニエンスストアも営業を再開すると聞いています。仮設住宅も着工され、2月中には最初の受け入れが始まる予定で、断水も2月中には概ね復旧が進むのではないかと見込まれています。

旧鵜川小学校のグランドで建設が進む仮設住宅

少しずつ生活を取り戻す動きが進んでいますが、日常生活が戻るにはまだまだ時間がかかります。町内の人の力だけではなく、これからますますいろいろな人の手が必要になってきます。

これからも現地の様子をお伝えしていきますので、引き続き関心を寄せていただけるとうれしいです。

（東京事務所 小栗清香）

＊この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成および皆さまからのご寄付により実施しています。

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