特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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能登地震レポート 松波小学校での特別クラス

  • 活動レポート

地震の発生から早2ヵ月が経とうとしています。

現在、パルシックの職員を中心に能登での活動を行っていますが、先日パルシック元職員の鈴木さんが活動に加わってくれました。鈴木さんが企画した松波小学校の特別クラスも大変盛り上がり、私たちも楽しい時間を過ごすことができました。

彼女の活動レポートをご覧ください。

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はじめまして。鈴木です。220日から5日間、能登町の活動にボランティアとして参加しました。今回2つの繋がりから、能登に来ることができました。

1つは2013年にパルシックの東ティモール駐在員だったこと。もう1つは、夫が小学・中学時代の9年間を、まさにここ能登町で過ごしていたご縁です。

夫家族がお世話になった場所が被災地となり、何かできないかと思っていた矢先、パルシックが能登町で活動していることがわかり、タイミングよくボランティアに参加することができました。

今回松波小学校に行くことになったきっかけは、家族の友人の一人が、能登町立松波小学校の教頭先生だったことです。何か支援できることがないかと話していたところ、「物資や食料は安定供給されているが、嗜好品のようなもの、日常を感じられるようなこと」が必要とされていることを教えていただきました。

松波小学校は、全校生徒81名で、小学校が被災したため、松波中学校で授業を行っています。体育館が使えないので多目的室で体育をし、外では自由に遊べず、6年生はもうすぐ卒業式ですが、ずっと過ごした学び舎で卒業式ができないかもしれないという状況、制限された環境で日々我慢をして過ごしています。

そこで今回「子どもたちに楽しい時間」と「被災者でありながら職務を果たされている先生方にひとときでも休み時間を」というコンセプトで、1時間の時間をいただきました。

水曜日の2時間目の時間帯、多目的室にて、対象は全児童と先生方。児童の皆さんは私とお楽しみ会を、先生方には教室の後ろの方でパルシックのコーヒーや温かい飲み物でホッとする時間を過ごしていただきました。

お楽しみ会の内容は、テーマを「わたしのけいけん」とし、いま経験していることや感じていることは、それぞれの未来で役に立つ、というメッセージを込めました。

全学年混合のチーム戦で、8チームに分かれた、ゲームとクイズ大会です。

アイスブレークのゲームは「新聞乗りじゃんけん」。

私とチームの代表者がじゃんけんをして、負けたら新聞を折りたたんでいき、最後までチームメンバー全員が紙の上に乗っていられたら勝ちです。

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新聞から落ちたら負け。どうにか落ちないように、子どもたちはいろいろ工夫をしていました

子どもたちとの距離が近づき、一気に打ち解けて話しやすい空気になりました。

次のクイズ大会では、「わたしの経験」ということで、私が過去に住んだ国内外9箇所での生活や、その場所に関するクイズを用意しました。

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子どもたちは真剣に、そして楽しんでクイズに取り組んでいました

たとえば、島根県の問題

「島根県にあるもので、世界一大きいことで有名なものは?ルービックキューブ、砂時計、いす」

東ティモールの問題

「私が友だちのうちで本当に食べたものはどれでしょう?羽アリ、犬、羊の脳みそ」

みんなで相談したり、多数決をとったり、力を合わせて答えを決め、正解を聞いたときには歓声が上がり、とっても盛り上がりました!最後に、現在住んでいる茨城県つくば市からのお土産、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙食を渡し、お楽しみ会は終了しました。

お楽しみ会の間は、パルシックのスタッフが、先生方に温かい飲み物をサーブしました。先生もおしゃべりしたり、クイズの答えを考えたりと、一息つけた時間になったようです。

活動を通して、児童のみなさんが楽しそうに、真剣に、そしてとっても盛り上がっていた様子から、目標だった楽しい時間を届けれたのではないかと思い、嬉しく思いました。私自身もとても楽しかったです!また、経験が未来で役に立つというメッセージ、今の経験や感じていることを大事にしてほしいということを伝えられたことも良かったです。

余談になりますが、さらに嬉しかった皆さんの反応を紹介します。

お楽しみ会が終わった後も、6年生の子どもたちが部屋に残り、パルシックの仕事や、海外での仕事について興味を持って質問をしてくれました。

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休み時間中に残って話を聞く子どもたち。「キャリア教育」になったと先生から言っていただきました

その6年生が去った後も、さらに2人が残り、他愛のない会話をするうちに、「私も将来、世界で活躍する人になりたい。どうしたらよいですか」という質問も。涙をポロリとこぼしながら、勇気を出して聞いてくれた姿に感動しました。心から応援します。

先生からは、「自分たちは似たような経歴の集まりなので、外部の方のお話は、子どもたちにとって、非常に貴重な体験となった」、「能登に住んでいると遠く感じる他県や外国のことをとても身近に感じられる時間だった。高学年の子は学んだことを応用して考える問題もあったので良かった」と感想をいただきました。

さらに、現在金沢に避難中で、たまたまお楽しみ会に参加してくれた子が、「能登で暮らすことが怖くて戻りたくなかったけど、みんなと過ごした時間が楽しくて、能登の学校に戻りたくなった」と思うきっかけになったと聞きました。気心の知れた仲間がいる居場所が、安心感を与え元気づけたのではないかと思いました。

このような機会を下さった松波小に感謝します。

最後にボランティアを終えての感想です。5日間、能登町内を車で回り、避難所で小さなカフェを開催し、地域の方や支援をする方と出会いました。来るまで知り得なかった状況を知ることができ、本当に来てよかったと思います。

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小間生公民館でのコーヒーの提供と物資配付の様子

一方で、地域には魅力的な人、場所、取り組み、観光地、自然、風景があることもわかりました。能登は魅力的な場所です。そのことが知れたことも良かったことです。

地震から2ヶ月、当たり前ですが、過去のどの震災の2ヶ月後とも復興のスピードや度合いは比べられません。能登は能登の現状に合った方法と進み方で、一歩ずつ着実に進んでいますが、課題も多く長期的になりそうです。

報道も少しずつ減り、物資支援も徐々に減っていると聞きますが、まだ多くの方が不安な状況下で過ごされています。パルシックは、長期的に地域に関わり、住人の方が自分たちの力で立ち上がり、暮らしを作っていく助けをしていくと想像し、自分もそのように、一度のボランティアではなく、継続的に何かできないか、これから考えていきたいと思います。 

(元東ティモール駐在員 鈴木桃子)

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