能登地震レポート 学生ボランティアの活動レポートVol.1
- 活動レポート
4月に入り能登にも春が訪れ、外で農作業をする方を多く目にするようになりました。
桜や春の花が咲き、能登の美しい春を感じます。
先月は、春休み期間中に学生ボランティアを10名受け入れました。ボランティアに参加した学生の活動レポートを3本続けてお伝えします。
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初めまして。私は3月19日から23日までの5日間、能登でボランティア活動をさせていただきました。本記事では具体的な活動内容と感想を伝えていきたいと思います。
私は今回、在籍する青山学院大学を通してパルシックのボランティアに応募し、能登での活動に参加することになりました。活動内容は、輪島市の住民の方が運営されているセントラルキッチンでの炊き出しのお手伝いと、能登町での「ちょっこりカフェ」を通した住民の方との交流が中心でしたが、珠洲への訪問や子どもたちを対象としたピザイベントのお手伝いなどもしました。
炊き出しは輪島市河井町の工房長屋に伺い、主に野菜の下処理のお手伝いをしました。
工房長屋では「被災者による被災者のための炊き出し」として自身も被災された方々が発災直後の1月2日より毎日炊き出しを続けていらっしゃるそうで、提供の数も非常に多く、炊き出しの他に学校給食や避難所への配給なども行っているそうです。提供が始まる前から列ができ、多くの方が炊き出しを受け取っていました。
きっと工房長屋を訪れることで元気をもらった方はたくさんいると思いますし、私自身もそのように人の役に立てるように頑張りたいと思いました。
炊き出しの下処理の様子
また、避難所や公民館でコーヒーの提供等を行う「ちょっこりカフェ」を輪島市の金蔵集会所と能登町の三波公民館で行い、地域の方と交流しました。
パルシックのコーヒーを能登の方々に提供しました
3日目に伺った輪島市の金蔵集会所は本来30分で行くことができるところでしたが、通行できる道路が限られているため1時間30分ほどかかり、発災から3ヶ月経った今でも影響が大きく残っていることを実感しました。集会所では来てくださった方々とコーヒーや紅茶を飲みながらお話しし、発災直後の状況や道路の状況、住民の方の避難状況や現在の取り組みなどを聞きました。
金蔵地区では人口減少が進んでいましたが今回の地震で外の地域へ避難する方が多く、さらに人口減少が進んでしまったそうです。集落の衰退を防ぎ、避難している方が再び金蔵で暮らすことができるように、金蔵地区に仮設住宅を建設するよう輪島市に要望していると伺い、その積極的な姿勢に刺激を受けました。
また、金蔵地区は「にほんの里100選」にも選ばれているのですが、本当に美しい景色でとても落ち着く素敵な場所でした。
金蔵地区の風景。空気がおいしく、落ち着いた素敵な場所でした
4日目に伺った能登町の三波公民館は20名ほどの方が集まりました。普段から三波公民館は地域の方の交流の場となっているようで、賑やかな雰囲気で交流を深めることができました。
私がテーブルでご一緒させていただいた際、郷土料理である納豆汁のつくり方や屋号について、そして能登弁もたくさん教えてもらいました。新しい発見が多く笑顔の絶えないとても楽しい時間でした。来てくださった皆さんにも明るい気持ちになっていただけていたら嬉しいです。
また、公民館の入り口には支援に来た多くの方との笑顔の写真が貼られており、公民館のブログでも日々のそのような様子がたくさん発信されていました。本当に多くの方が能登へ支援をしており、能登の方の笑顔に繋がっているのだと感じることができました。
公民館の一角。私も元気をもらいました
そして4日目には珠洲にも訪れ、テレビで見るような津波や火災による広範囲な被害を実際に見て衝撃を受けました。それと同時にテレビでは報道されないような美しい海や、姿が変わってしまった日用品を見て、能登をただ「被災地」として捉えるだけでなく、自然が美しく人が生きる、かけがえのない場所だと感じるようになっていました。
5日目の最終日はお世話になった農家民宿三平で、ピザ作りの体験イベントのお手伝いをしました。このピザイベントは、地震で遊ぶ機会が少なくなった子どもたちが少しでも楽しい時間を持てるようにと農家民宿三平の山崎さんからの提案で開催されました。参加した子どもたちはそれぞれ個性のあるピザをつくり、美味しいと言いながら食べていました。
今回は地域に一つの子ども会の方が多く来てくださり、皆さんピザを囲んで談笑していました。子どもたちから元気なパワーをもらい、子育てをされている世代の方からもお話を伺うこともでき、楽しく充実した時間でした。
子どもたちが作ったピザを窯で焼きました!
以下、今回の経験で私が感じたこと、考えたことをお伝えします。
能登での活動を振り返って最も印象的なのは現地の方の笑顔や明るさ、パワーです。はじめは東京の一大学生である私が行ってもいいのか受け入れていただけるのか不安もある一方、私たちが行くことで何か少しでも役に立てることがあれば嬉しいと思っていました。しかし実際に伺うととてもあたたかく迎えてくださり、お話をする中で自然と笑顔が溢れ、むしろ私の方が元気をもらっていました。
また、地域の結びつきの強さも印象的です。発災後に近隣の方と一緒にテントで過ごしたことや、炊き出しは輪島市の料理人の方を中心に毎日交代で行っていることを聞き、地域で支え合いながら復興に取り組んでいるのだと強く感じました。そして私が能登で活動をしている間にちょうど関東で地震があり、公民館で地域の方から「能登は地域の繋がりがあるが、東京は大変だと思う。」と聞き、はっとしました。確かに私が普段首都圏で生活をする中で首都圏では特に他者に対する関心が薄い傾向があると感じることがあります。これが良いことなのかどうかを改めて考える必要があると実感しました。
そして、私は法学部の学生であるということもあり社会的な課題に対して法や制度の視点から考えることが多いのですが、能登での経験を通して制度などのハードな面だけでなく人と人との関わりなどソフトな面も非常に重要だと考えるようになりました。
一人一人がもう少し周りに目を向けることで有事の際だけでなく普段の生活もより充実したものにできると思います。まずは私自身がこのような意識を持って生活していきたいですし、今後多くの人が安心して笑顔で暮らせるためにどのようなことが必要なのかを考えていきたいです。
私は能登で過ごし、能登の方と関わり、能登が好きになっていました。現在インターネットを通して多くの情報を得ることや現地の方と繋がることは容易ですが、こういった社会だからこそ実際に現地を訪れ人と関わることは喜びであり視野を広げることにも繋がり、互いにとって有意義なものだと感じています。
能登での経験を通して、私はボランティアとして様々な方と関わることが好きであると再認識できましたし、変わってしまった被害の状況をこの目で見て、歓迎してくださる能登の方と接して、ボランティアとして活動することにやりがいや使命感を感じました。本当に貴重で有意義な時間でした。能登でのボランティアに関わってくださった方々に感謝をし、さらに経験や学習を重ね社会に貢献できるように頑張ります。
本当にありがとうございました。
(青山学院大学 学生ボランティア本田 真樹)
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