なごみプロジェクト始まります
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昨年まで、仮設住宅や公民館でのちょっこりカフェやイベントの開催など地域の人が集まれる機会を作ってきましたが、今年から新たに常設の居場所づくりがスタートしました。
能登町の七見にある能登七見健康福祉の郷「なごみ」は、地震の前には1日200~300人がプールや温泉に入りに来る憩いの場所でしたが、地震の影響でずっと営業を休止していました。
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プールやお風呂は天井が落ちたり、ガラスが割れたり、被害が大きく、浄化槽も壊れているため使えません
町の復興まちづくり意見交換会でも、「なごみ」の再開を求める声や「毎日なごみのお風呂に通っていたのに、行くところがなくなってしまった」といった話を耳にし、地域の人が集う大切な場を何とか再開できないかと、「なごみ」の活用に向け動き始めました。
まずは施設を管理する能登町の健康福祉課に相談に行き、施設の見学と破損個所の確認を行いました。浄化槽が破損し、利用していなくても高額な固定費がかかるため高圧電気の受電を停止していること、令和6年度は「なごみ」にかかる予算もないことが分かりました。
温泉もプールも天井や柱、窓ガラスが割れてとても簡単に再開できるような状況ではありません。ネガティブな状況ばかりでしたが、施設のホールや畳部屋、厨房などは一見すると大きな被害がなく、それを活用できないか検討を始めました。
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なぜ「なごみ」なのか?
「なごみ」はプールやお風呂を含めると800人以上が収容できる大きな施設です。そんな大きな施設がなぜ必要なのか。活動を続ける中で、「なごみ」は誰もが地域や今住んでいる場を越えて気軽に集まれる場であり、今の能登にはそういう場があった方が良いと思うようになりました。
仮設住宅でのサロン活動には仮設住宅の人しか来ず、公民館で開催するサロンは大体在宅被災者の方しか来ない。元々は同じコミュニティで暮らし交流する機会があったのに、被災状況や環境によって受けられる支援も異なり、一部の地域ではコミュニティがバラバラになり始めています。加えて、町外のみなし仮設に入居する方からは、能登に戻っても滞在する場所がない、情報がなかなか入ってこない、といった声も聞き、町外に避難しているみなし仮設に住む人もふらっと立ち寄ったり人と繋がれる場があれば良いなと思い始めました。能登町内には15の公民館がありますが、良くも悪くも集落の繋がりが強く、地区を越えて人が集まれる場があまりありません。「なごみ」のような場所であれば地区を越えて人が集まることができるのではないかと考えました。
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震災後、仮設住宅や公民館等で開催されるサロン活動は大切な活動ですが、参加される方は限定されてしまいます
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施設再開までの道のり
町から行政財産使用許可を取得し、電気を受電するための工事や手続きが必要でしたが、工事を請け負ってくれる業者を見つけるのに時間がかかってしまいました。電気が通るまではどの機材が正常に使えるかわからず、電気開通後に、設備の点検、配管の確認、消防検査を行いました。また、浄化槽が壊れているため、仮設トイレを設置する予定でしたが、浄化槽の破損状況が分かり、仮設の浄化槽を設置することで何とかトイレを使うことが出来るようになりました。
施設の再稼働の見通しがたったのが、2024年12月末。はじめて、なごみを見学に行った日から半年が経っていました。
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仮設浄化槽の設置工事の様子
「なごみプロジェクト」は何をするの?
「なごみプロジェクト」は期間限定の活動です。町は、被災した施設の今後の方針をまだ決めていません。町や町民の方が「なごみ」をどうするか決めるまでの間、利用されず放置された施設は悪くなってしまいますし、一時的にでも利用できる部分は活用した方が良いと思い、今後の方針が決まるまでの「中継ぎ」が出来たら良いと考えています。
プールや温泉がない「なごみ」に果たして人は来てくれるのか?
畳のスペースはキッズスペースやヨガやワークショップなどのイベントができるスペースに、カフェではランチやお茶を提供します。「なごみ」に元々あった運動器具も利用できるスペースを設けたいと考えています。ただ、そんなにガッツリと決めていません。
人が集まって交流する中で、様々なアイディアが出ることを期待しています。天候に左右されず子どもが遊べる場所となったり、高齢者が家や買い物以外に立ち寄る場になったり。同時に、能登町内外の人が「こういうことをしてみたい!」ということを実現できる場をつくります。例えば、講師を呼んでモノづくりのワークショップをしたい、子ども食堂をやりたい、ヨガクラス、マッサージ、、、。そういったことができる余白を残します。
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キッズスペースのおもちゃは地元の母親グループの皆さんが寄付を募って集めてくれたり、企業からもご寄付いただきました
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気まぐれランチ「油淋鶏風唐揚げ」。ランチとカフェメニューは地元の料理好きのスタッフとパティシエ経験のあるスタッフ岡さんが考案し、すべて手作り
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すぐ近くにある鵜川の卓球部の方や、女性グループなどが来てにぎわう店内
始まったばかりのなごみプロジェクト。日々の様子はInstagramに更新しています。良かったらぜひご覧ください。
(能登事務所 小栗清香)
*この事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成と皆さまからのご寄付で実施しています。