羊事業1年目終了!参加した女性たちの声
- 活動レポート
2022年3月に「ガザ地区ハン・ユニス県における羊の畜産支援」事業を開始し、1年が経過しました。この事業はガザ地区南部のハン・ユニス県で、小規模羊農家の生計向上と女性のエンパワメントを目指しています。
1年目の活動は、同県の2村の羊農家50世帯を対象に、羊小屋の修繕、羊の配付、畜産技術研修などを実施しました。
修繕された羊小屋
また、保守的なガザ地区南部では女性の地位が男性よりも低い傾向にあることから、女性のエンパワメントや社会参加の促進の一助となるように羊農家の女性50名に加えて地域の女性50名、合計100名を対象に、様々な研修を実施しました。ガザ地区で事業実施に奮闘する現地スタッフのタグリードが研修に参加した女性の声を届けてくれたのでご紹介します。
女性向けワークショップの様子。羊の飼育方法や羊の体調管理など幅広く学ぶ
11人の孫の祖母であるヌジュドさんは、15歳で結婚し、現在は夫と8人の子どもと暮らしています。彼女は参加者の中でもひと際目立つ存在です。いつも熱心で、パルシックのスタッフや研修講師にたくさんの質問をしてくれます。
「畜産技術研修で羊の適切な扱い方や、羊の販売に最適な時期など、新しい知識をたくさん学びました。私と夫は仕事を分担し、私が早朝に羊小屋に行ったときは、羊の目や行動を一頭ずつチェックして健康かどうか判断した後、餌をやり、日光浴をさせます。羊の予防接種や餌やり、飼料作物の収穫を飼育記録帳に記入することも私の仕事です。 以前からチーズ作りはしていましたが、研修で習った方法とは異なる方法で作っていました。研修後は、生乳や道具の衛生にも、より一層気を配るようになりました。また、以前は酢を使ってチーズを作っていましたが、レンネット(生物由来の凝固剤)を使うことを新たに学びました。今は羊のミルクが搾乳できない時期なので、UNRWA *から届く粉ミルクでチーズを作ってみようと思っています。 事業に参加する以前は、私はよく義姉の家へ行き、日中はおしゃべりを楽しんでいましたが、今は研修の受講や羊の世話でスケジュールがいっぱいです。時間を有効に使おうと意欲が湧いてきました!」
*国際連合パレスチナ難民救済事業機関。パレスチナ難民への包括的な支援を行う国連機関の名称。
修繕した羊小屋に羊を連れていくヌジュドさん
積極的にチーズ作りに取り組むヌジュドさん
パルシックは、羊の適切な飼育方法やチーズ作りなど実践的な研修に加えて、ジェンダーについて考えるワークショップなど幅広い内容の研修を実施しました。女性たちが事業参加以前よりも積極的になってきたと感じる、とタグリードも喜んでいました。
パルシックのガザ事務所スタッフ全員で記念撮影。左から2番目がタグリード
(ガザ事務所タグリード)
※この事業は日本NGO無償連携資金協力の助成および皆さまからのご寄付によって実施しています。