村に憩いの場を
- 活動レポート
ヨルダン川西岸地区では毎年、地域の人たちと植樹をしています。今年はラマッラ県のカラーワ・バニ・ゼイト村で行いました。耕作放棄地を再生し、地域の人たちの憩いの場となる公園にするための初めの一歩として、2月14日に植樹イベントを行いました。
カラーワ・バニ・ゼイト村の人たちは、他の西岸地区の地域も同じですが、イスラエルによる占領によって日々の生活に様々な影響を受けています。その一つがごみ問題です。
ヨルダン川西岸地区は統治権によってA地区、B地区、C地区に分けられています(詳細は下記の地図をご覧ください)。カラーワ・バニ・ゼイト村のほとんどの地域がA地区に分類されています。A地区は主に居住地となっていて、ごみ処理場を作るのに適した場所がありません。また、西岸地区には現在ごみ処理場が3か所ありますが、村から近い処理場に運ぶにもゴミを輸送するために通行可能な地区を通ると、輸送費が莫大にかかってしまいます。
そのため、村の内外の道路脇、川、耕作放棄地など至る所にごみが投棄されていて、景観を損なっているのはもちろん、環境問題になっています。
ヨルダン川西岸地区は統治権によってA地区、B地区、C地区に分けられています。A地区、B地区はC地区に囲まれた小島のようになっています。C地区を通り抜けるには検問所を通過しなくてはいけなかったり、C地区内ではパレスチナ人が利用できる道の整備が遅れています
植林する土地の隣には川があります。乾季の間は水が無く、タイヤなどのごみが捨てられているのがわかります
また、カラーワ・バニ・ゼイト村には住民が自由で安全に使える憩いの場がありません。子供を公園で遊ばせたいと思ったら、ラマッラ市内もしくは近郊まで出かけていく必要があります。直線距離ではラマッラ市内まで20km程度ですが、C地区で分断されているため、車で1時間以上かかります。
こういった背景もあり、ごみの不法投棄場所になってしまっている耕作放棄地を、村人の憩いの場としての公園に再生しようということになりました。
植林作業を終えてから、みんなで記念撮影
植林イベント当日は、2月中旬とは思えない暖かさでした。天候のせいで何度かイベントを延期していたので、待ち望んだ天気でした。植林作業をリードしたのは、村の学校の8~10年生(14~16才)の子どもたちです。植林する場所の大きな石を取り除いたり、コンポストを入れたり、わいわいと騒ぎながら汗だくになって作業を進めてくれました。
作業を始める前に農業専門家から、苗の植え方、コンポストの役割などの説明を受けています
「教室で数学の授業を受けるよりずっと楽しい!」と言いながらチームワークよく苗を植えていきます
村長さんもせっせと作業をしていました
子どもたちを引率していた先生は「子どもたちを地域の人たちとのイベントに連れて来れる機会がほとんどないし、みんなで植林作業をするのも初めてです。公園として整備が進んだら、ここで課外活動をしたいです。」とのことでした。2時間以上かけて100本ほどの植樹を終えてから、村の人たちが用意してくれたお昼をみんなで食べてイベントは終了となりました。
今回はアーモンド、ブドウ、イチジク、オレンジ、ザクロ、パッションフルーツなどの果樹もたくさん植えました。苗が少し育ったら公園として開放する予定です。さらに、数年経ったら、果物狩りイベントをしたり、村の女性組合がジャムなどに加工したい、など村の人たちの夢は膨らんでいます。
(西岸事務所 ヤラ)
※この事業は、国土緑化推進機構の緑の募金の助成および皆さまからのご寄付によって実施しています。