有機紅茶農家がネパールでの有機堆肥作り研修に参加
- 活動レポート
2024年6月から、JICA草の根技術協力事業で、デニヤヤの有機紅茶の生産性と農家の収入を上げるためのプロジェクトを開始しました。
生産性を上げるための取り組みの一つとして、堆肥の品質の改善や施肥の量、施肥の仕方を変える必要があり、良質の堆肥作りとその企業化に成功しているネパールのリキシコンポストで、エクサ(*)の参加農家3名とパルシックのスタッフ1名が堆肥作りについて学びました。
リキシコンポストを創業したウサ・ギリさんは、パルシックがこのプロジェクトで堆肥作りのアドバイスをいただいている堆肥・育土研究所の橋本力男さんのお弟子さんで、橋本さんからのご紹介で、今回の訪問・研修を受け入れていただけることになりました。
(*) デニヤヤで有機栽培と出荷を協同で行うグループで、社会的企業として登録。
堆肥舎の前での集合写真
研修内容
9月26日~30日まで、3名の農家と通訳担当の現地スタッフがネパールのカトマンズに滞在し、次の内容の研修を受けました。
- 最初は、座学で活動の概要やミッション、良質な堆肥を作るために必要な成分やバクテリアの役割についてのお話を聞きました。非常に分かりやすく、飽きさせないように話を進めてくださって、座学に慣れていない参加農家も、最後まで関心をもって聞いていました。
- つづいて、ティミ市にあるリキシコンポストの堆肥舎で堆肥作りの実習をしました。参加農家は、スタッフの方々の指導のもと、実際に身体を使って、材料を混ぜ合わせ、堆肥作りを体験しました。堆肥舎には、既に発酵を終えてパッキングを待つだけの堆肥や、発酵途中の堆肥が積まれていましたが、嫌なにおいがなく、堆肥・堆肥舎のイメージを変えるものでした。
実習の様子
その後、生産された堆肥を使っている農家を訪問し、聞き取りを行いました。
訪問した花卉農家から、「以前は高価な骨粉を購入して使っていたが、土のバランスが悪くなり農薬も大量に必要だったが、コンポストに変えたことで肥料代が削減された。花の生育速度も速くなった」という声や、野菜農家からは「1年前にコンポストを使い始め、生育スピード、病害虫、収穫量に効果があると感じている」という声を聞きました。実際に農家が使い、その効果を実感し肥料代も減らせているという声を聞くことができ、エクサでも試してみたいという意欲が高まりました。
野菜農家を訪問して、話を聞く
参加農家の声
サラットさん
今回、ネパールで堆肥作りについて学ぶことができ、非常に興味深かったです。自分たちがこれまで使ってこなかった落ち葉や壁土も堆肥の材料にされていて、こうしたものも良質な堆肥作りの材料になるということを知りました。多くのことを学ぶことができ、デニヤヤでもぜひ実践してみたいと思っています。
スリパーラさん
研修前は、今まで自分たちがやってきたやり方がいいんだと思って、新しいやり方にあまり前向きではありませんでした。ですが、研修を受けて、さらに農家を訪問することができて、この新しい方法が良い結果を生んでいることが分かり、とてもよい方法だと思いました。デニヤヤで試してみたいと思います。
ダヤセーナさん
自分たちが堆肥を作るときには、温度や湿度の管理をしてきませんでしたが、リキシコンポストではそれらを行い、非常に品質のよい堆肥を生産されていることが分かりました。デニヤヤに戻って実践したいですし、他の農家にも伝えたいと思います。
リキシコンポストでの集合写真
これまでに堆肥の材料や別の作り方について、話し合ったこともありましたが、それだけでは今までの材料や手法を変えて、新たな実践をすることにつながりませんでした。しかし、今回現場で実際に農家さんに会い、また堆肥作りの現場を訪問し、自分たちも実習したことで、デニヤヤでもやってみたいという意欲が高まりました。これからエクサの有機農家と新たな実践を始めていきます。
お忙しい中、受け入れてくださったリキシコンポストの皆さんに感謝申し上げます。
(スリランカ事業担当 西森光子)
*この事業はJICA草の根技術協力事業の業務委託を受けて実施しています。