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#4 茶葉の出荷から紅茶になるまで

  • 活動レポート

茶葉の出荷から紅茶になるまで

デニヤヤでの紅茶有機転換事業では、茶畑の有機転換を進めると同時に、有機紅茶を加工できる工場が必要です。スリランカでの有機紅茶生産は、インドや中国など他の茶生産大国に比べて随分と遅れをとっています。大規模茶園の紅茶加工工場では、メインの非有機紅茶生産の片隅で有機紅茶加工を行っているところはいくつかありますが、有機紅茶生産をメインで行っているのはスリランカ国内で4,5件のみです(非有機の紅茶も加工しているが、あくまでメインは有機の工場)。さらに、デニヤヤ紅茶の近隣でとなると、1件しかありません。その1件であるアヒンサ有機紅茶工場で私たちの茶葉を加工してもらっています。今回は、茶葉の出荷から、紅茶になるまでのプロセスについて一通りご紹介します。

まず生産者グループは毎週木曜に、有機転換茶畑から新芽を摘んで共同出荷します。出荷の際は、それぞれのメンバーが収集地点まで茶葉を運び、重さを測定し記録します。この記録によって後ほど茶葉代が支払われます。工場に運ばれた生茶葉はすぐに一次加工工程にかけられて、翌日の午後には紅茶(荒茶と呼ばれます)になります。

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計量係のアーリアラトネさんと茶葉を持ってきたスシリパーラさんの娘さん

ちなみに、デニヤヤの茶葉が運ばれる工場では、茶葉が着くとまずは品質を確認するためのサンプリングチェックが行われます。「ラン・ダル(シンハラ語で金色の芽の意、柔らかく綺麗な葉のこと)」が全体の70%以上を占めることが理想です。

サンプリングチェックの後は、以下の工程1から5までを翌日中に終わらせます。

 1. 萎凋(いちょう):生茶葉に風を当てしおらせる工程。一晩かけて水分を飛ばし、茶葉の量が元の50~60%になります。

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一晩かけてしおれた茶葉。茶葉の下に温かい風が流れていることを確認するため、左の萎凋機の茶葉を掘っている私と紅茶輸出会社のニランジャンさん

2. 揉捻(じゅうねん):しおらせた茶葉を揉捻機を使ってツイストし、細胞を壊して、酸化発酵を促します。

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茶葉をツイストする揉捻機

3. 玉解き・ふるい:揉捻機にかけられた茶葉は、ほぐされ、ふるいにかけられて大きさを揃えられます。ツイストが十分でなかった茶葉は再び揉捻機にかけられます。一般的に3回くらいこの<揉捻→玉解き・ふるい>の工程を繰り返します。

4. 発酵(はっこう):ツイストされた茶葉は、気温と湿度を管理して酸化発酵させられます。天候などによる微調整がされますが、だいたい2~3時間かかります。

5. 乾燥:適度に発酵された茶葉は、発酵を止めるために乾燥機に入れられ、約210度の高温で乾燥されます。乾燥された茶葉は「荒茶」と呼ばれ、工場に運ばれた生茶葉の約20%のボリュームになります。

6. 等級分け:荒茶は繊維やホコリを取り除かれ、大きさ・重さ・色で分類され、OPやBOPなどの等級に分けられます。

ここまでの過程で、生茶葉が「紅茶」になります。デニヤヤのアールグレイ紅茶には、さらにこの紅茶に天然のベルガモットオイルを混ぜ、パッケージされるという過程が待っています。次回はいよいよ、最後の段階の加工、船に積むまでの様子をご紹介する予定です。

ちなみにアヒンサ工場は、スリランカ人で、長く中国で農業開発事業に携わったり、アメリカの大学で教鞭を執られたりしていたピヤセナ博士が私財を投じて作ったものです。放棄されていた茶・ゴム園だった土地を1999年から購入し始め、有機紅茶栽培、混植栽培植物としてスパイスや木材などの栽培を開始し、有機紅茶加工工場としては2011年から本格稼働を始めています。「アヒンサ」とはサンスクリット語で「非暴力」を意味します。博士が若いころ、スリランカ国内、特に南部では行き過ぎた社会主義支持者による大混乱が起こり、大量の血が流されました。そこで、この「アヒンサ」という名前を工場につけたということです。

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茶園に住む子供たちのための学校。この日は外から先生が来ていましたが、時にはピヤセナ博士が先生をすることもあるとか

(スリランカ デニヤヤ事務所 高橋知里)

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