紅茶便り#17 バイオガスプラント建設完了
- 活動レポート
アーユーボワン(こんにちは)!
デニヤヤでは、昨年度皆さんのご支援を受けて、コンポストセンターの建設を行いましたが、今年はこのコンポストセンターに併設して(コンポストセンター建設の詳細はこちら)、バイオガスプラントの建設を行い、10月末にようやく完成しました。実は完成は7月を予定していたのですが、主にプラント建設技師との調整に手間取り、予定を大幅に遅れた形になりました。大きな声では言えませんが、この遅れはスリランカでは想定内かと。とりあえず、何とか年内に終わってほっとしました。
このバイオガスプラント建設の目的は、コンポストセンターにいる牛の糞尿を利用してメタンガスを生成し、その過程で出てくるメタンガス消化液を液肥として利用することです。この液肥はスリランカでのお茶作りにとって最も重要な窒素を与えるのに役立ちます。これまでは主に固形のコンポストや緑肥、窒素固定化に役立つマメ科の植物の混植などによって土壌の窒素を増やす努力をしてきましたが、液肥はこれらに比べて即効性があり、効率がよいとされています。ところで、スリランカでは一般的にこのメタン消化液だけではなく、他の有機液肥も含めて、茶葉への直接散布が推奨されているのですが、エクサは日本とスリランカの専門家に相談した結果、茶葉への直接散布はせずに土への散布に限ることにしました。茶葉への直接散布による茶木の成長ホルモンへの影響、根の機能低下などが懸念されるからです。
さて、バイオガスプラントの建設は具体的にはまず穴掘りから始まります。メタン発酵槽と消化液貯留槽を土中に設置するためです。今回デニヤヤで作ったバイオガスプラントはメタン発酵槽が直径2.6メートルほどの規模です。一般的に牛を2,3頭飼っている家庭で作るサイズです。穴堀を終えてから、建設技師に来てもらい、昼夜を問わない突貫工事を行い、1泊2日でほぼ完成となりました。技師のウパリさんはおしゃべり好きで、徹夜の作業中ずーーーーっとおしゃべりが続きました。私の拙いシンハラ語かつ、彼の強い訛りのため、すっかり理解できたわけではありませんが、これまで直径5メートル級の大規模なものも含めて200基以上の建設をしてきた、という話や、以前は小規模酪農を経営していたことがあり、色々な種類のチーズやヨーグルト、ミルクワインなども作っていた、という話はとても興味深かったです。
おしゃべり好きの建設技師ウパリさん
徹夜作業を手伝う村の若者。この後、建設技師のウパリさんに「スタミ ナが無い!」と怒られていました。
さて、建設が完了したバイオガスプラントのメタン発酵槽には牛の糞尿が送り込まれ、11月中旬ころから消化液が出てきています。現在、この消化液をエクサのメンバーに配布する準備、価格設定などをしています。同時に、消化液のサンプルを国立紅茶研究所に送って成分分析をしてもらい、より効果的な施肥の方法をアドバイスしてもらうようにお願いしているところです。
完成したバイオガスプラント。写真左側のメタン発酵槽には奥の牛舎か ら牛の糞尿が流れ込み、右側の貯留槽からコンポストに消化液が流れる仕組み。
(デニヤヤ事務所 高橋知里)
バイオガス事業はゆうちょ財団の支援を受けて実施しています。