レバノン ベカー県での越冬支援(灯油配布)
- 活動レポート
レバノンのベカー県にてテント生活を送る人びとは、冬の間、テント内に断熱シートを施す、あるいはシートを重ねるなどして防寒対策をとります。しかし、そのような工夫をしても室内を暖かく保つにはやはりどうしてもストーブが必要です。降雨・降雪の時期には灯油がいくらあっても足りません。中には食糧購入用として国連より受け取っている現金を灯油の購入に充てている世帯も少なくないようです。
そのような厳しい状況を少しでも改善すべく、現地の提携団体と共に2017年12月より月2回に分けて、3つのキャンプの331世帯に対して80リットル/月の灯油を配布しています。
ヤスミーンキャンプでの灯油の配布。クーポンと引き換えに1世帯ずつ順に受け取る。
アルラハマンキャンプにて、配布を受け取るキャンプ地の住民。
アブダル・マオラ・ジャブルさん一家
2018年1月12日の灯油配布時、アブダル・マオラ・ジャブルさんにお話をお聞きしました。アブダルさんと妻のヘラーネさん夫妻には9人の子どもがいます。シリア人の家族と話していて多くの場合に感じられるように、この夫婦もとても穏やかで優しく、子どもたちは恥ずかしがりながらも人懐っこい笑顔を返してくれます。お話を伺うと、アブダルさんは9人の子どもを抱えながら、健康上の問題から働きに出て収入を得ることが困難であり、国連やパルシックの食糧支援を得てなんとか生活を送っているとのことです。生後2か月の赤ん坊もおり、この赤ん坊や子どもたちが病気にならない為には、暖かい生活環境は必要不可欠だといいます。
アブダルさんの娘アスラーちゃん、7歳
家族のお昼ごはんの準備をするヘラーネさん。テントの中はコンクリートの上に絨毯がひかれているのみ。
テントに暮らして過ごすレバノンの冬が、身体的にも精神的にも本当に厳しいものであることは想像に難くなく、そのような環境にいる人びとが持つ越冬支援の必要性は、パルシックの越冬支援だけでは決して満たしきることはできません。それでも継続的に灯油を配布することで、日に僅かでも人びとが暖をとることができ、そして彼らが冬を乗り越えられるように願う 人びとがいることを感じてもらえるよう、支援を行っていきます。
(レバノン事務所 宮越)