幻のコーヒー「ラク・テ」
- 活動レポート
ロブスタコーヒーを生産しているエルメラ県ポニララ村のサココ集落を訪れました。先日アラビカコーヒーの不作をお伝えしましたが、ロブスタの方は今年も安定した収量が見込めそうです。6月から始まった収穫期もほぼ終盤に差し掛かっています。
ロブスタはアラビカと比べて粒が小さく、果肉も薄くて硬いため、果肉を除去したり水で洗ったりという加工工程もアラビカとは勝手が違います。サココの生産者たちは果肉を手製の機械で取り除いた後、そのままテラスやビニールシートに広げて乾燥させています。アラビカの白く光るパーチメントを見慣れた目には正直「汚い…」と映りますが、生産者宅でいただく自家製ロブスタコーヒーは、まろやかでフルーティなしっかりとした味で、コーヒー飲みにはたまらないおいしさです。
組合に出荷するコーヒーとは別の場所に、畑で拾って来たという自家消費用コーヒーが干されていました。コーヒーの赤い実はネズミや鳥、ジャコウネコといったさまざまな動物たちの恰好のエサとなります。動物にかじられたりして落ちた実を一家総出で拾いに行くのは、アラビカ、ロブスタ、産地を問わずコーヒー農家の大切な仕事のようです。そのなかに――ありました!俗称「イタチコーヒー」として一部コーヒー愛好家を虜にしているものが。
イタチコーヒーとは?(Wikipediaへ)
アラビカに比べて水分が少ないからでしょうか、しっかりと塊になっています。拾い集めてみると両手いっぱいになりました。飲んでみたい!衝動に駆られますが、これも彼らの貴重な労働の成果と思うと安易にお願いできません。ジャコウネコは東ティモールでは「ラク」と呼ばれ、「イタチコーヒー」は「ラク・テ」(ラクのフン)と呼ばれています。独立後たくさんの外国人が東ティモールを訪れるようになり、「ラク・テ」に信じられない価値があることを東ティモールのコーヒー生産者たちも知るようになりました。「拾って家で飲むんだよ」というサココ組合長さんの言葉には、「贅沢だろ?」といういたずらっぽい含みがありました。
(パルシック 伊藤淳子)
ロブスタの赤い実を収穫して畑から帰る男の子
組合に出荷するコーヒーを乾燥する生産者一家
幻のコーヒー「ラク・テ」