特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

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コカマウのコーヒー、品評会で堂々の1位と2位に

  • 活動レポート

東ティモールでは毎年、コーヒー収穫がひと段落する10月以降、生産者をねぎらいその年の成果を関係者全員で祝うために、東ティモールコーヒー協会主催のコーヒーフェスティバルが開かれます。8回目となる2024年のフェスティバルは、1116日から22日までの1週間、コーヒーの品質とコーヒー畑改善コンペティション、そして全国のカフェ数店舗でイベントをおこない、コーヒー愛飲家たちにカフェ巡りをしていただく、という企画が実施されました。

パルシックとコーヒー生産者組合コカマウはコーヒー協会の設立時から理事を務めており、年に一度のイベントを盛り上げようと、今回もすべての企画に参加しました。1116日には首都ディリにあるカフェ・アロマティモールにコカマウの生産者5名を招き、日頃カフェでコカマウのコーヒーを楽しんでくださっているお客さんとの交流の機会をつくりました。

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2024年のコーヒーシーズンを振り返って話をするコカマウの生産者たち

気候変動の影響で過去に例をみないほど収穫開始が遅れたこと、裏作の年で激しい買取り競争があったけれども、組合として84トンのコーヒーを集めることができたこと、コーヒー畑の改善技術がようやく組合員に定着しはじめ、これからも組合として改善作業を続けていきたいと思っていることなどを、少し緊張しながら生産者のみなさんが話してくれました。

その後、できたばかりの新鮮なコーヒー豆を4集落分、参加者全員で試飲し、一番気に入ったコーヒーをお客さまに選んでいただき、コメントをいただきました。自分たちが丹精込めて作ったコーヒーの味がどう評価されるのか、生産者が直接耳にする機会はあまりなく、また、お客さまにとっても作っている方に直接感想を伝えるのは初めてで、貴重な相互交流の時間を持つことができました。

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イベントが終わるころにはすっかり打ち解け、一緒に記念撮影

コーヒー畑改善コンペティションは今回が初の試みでした。0.5ヘクタール以上のコーヒー畑を対象に、古い木の再生や土壌改良、日陰管理や病虫害対策など、コーヒー栽培環境の改善に積極的に取り組んでいる生産者を表彰して、生産者のモチベーションの向上につなげようという試みです。2019年からJICA草の根事業でコーヒー畑の改善に取り組んできたコカマウからは、4名をノミネートしました。

応募書類は申請書に加え、視覚的に畑の状態を確認するためのビデオ撮影も含まれていました。ビデオの内容は、これまでの取り組みや課題について生産者が畑に立って説明することが求められていましたが、コカマウから届いたビデオを見ると、簡単な自己紹介が終わるとカメラは畑だけにフォーカス。ノミネートされた生産者も、ビデオ撮影に向かった組合スタッフも、細ごまと説明するより見ればわかると、自信満々な様子が伝わってきて微笑ましく思いました。

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祖父の代に植えられたコーヒーの木を2年前に手入れした、と説明する生産者

フェスティバルのメインは、なんといってもコーヒーの品質コンペティションです。今回から提出するサンプル重量が例年の1キロから31キロに変更となりました。コンペティションで入賞するコーヒーが実際に市場に出ている商品を代表していることを保証するためです。コカマウからは提出期限に準備が間に合った4サンプルを提出しました。

コカマウは例年、10サンプル以上を提出してどれか一つがトップ10入りしてきましたが、2021年のフェスティバルから入賞を逃すようになっていました。前回は結果発表のあるフェスティバル閉会式をマウベシで開催し、コカマウ総出で準備をし、地域の方々を招いて挑みましたが、他地域のコーヒーに賞を持っていかれるという苦い経験をしました。もう品質コンペティションには参加しない、と言い出すかと思いましたが、いつも通り、淡々とサンプルを用意してくれたことを嬉しく思いました。

迎えた閉会式。ディリの海岸沿いにある元ゴルフ場に各地から生産者が集まり、日本大使や中国大使など、コーヒーセクターを支援する国や機関の方々を来賓に迎え、畑改善コンペティション、品質コンペティションの結果発表がおこなわれました。コカマウからは車2台で20名がはるばるとやってきました。

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フェスティバルのバナー前で記念撮影

期待はしないでおこうと思いながらも、やはり、生産者をがっかりはさせたくありません。主催するコーヒー協会も、参加するすべての生産者が楽しめる場とすることに心を砕き、景品付きのゲーム大会を開くなど、場を盛り上げました。

まずは畑改善コンペティションの結果発表。12人がノミネートし、審査員による書類審査と実地訪問による検証の結果、3人の入賞者が発表され、コカマウからエルダウトゥバ集落のジョアオンさんが2位に選ばれました!

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2位の表彰楯を手に、木村大使やコカマウメンバーに囲まれたジョアオンさん

そしていよいよ品質コンペティションの結果発表です。水洗式の部17サンプル、ナチュラル製法の部9サンプルの合計26サンプルが集まり、精製方法ごとに3位までが発表されました。コカマウの4サンプルはどれも水洗式です。トップ10にぎりぎり入賞した成績しかもたないコカマウは、今年も無理だろうと思いました。ところがなんと、ハヒマウ集落がスコア83.062位に、エルダウトゥバ集落がスコア83.561位に選ばれました!

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入賞者全員で。堂々と真ん中を飾るハヒマウ集落代表のドミンゴスさんとエルダウトゥバ集落代表のジョアオンさん

2002年にコーヒー生産者との組合づくりを始めてから22年。日本で多くの方々にコカマウのコーヒーを評価していただいてきました。そのことを繰り返し、わたしたちから生産者に伝えてきましたが、今回の受賞でコカマウの生産者は自分たちのコーヒーにより自信を深めたことと思います。入賞したコーヒーは20255月にインドネシアで開催されるWorld Coffeeというイベントに出展される予定です。

12月に開かれた年内最後のコカマウ代表者会議で、エルダウトゥバ集落代表のジョアオンさんは、品質コンペティション1位のトロフィーと畑改善2位の楯をコカマウ事務所に飾ってほしい、と大切に持ってきてくれました。畑の改善事業がコーヒーの品質改善に結びついたことを伝える、大切なメッセージとしたいと思います。

 (東ティモール事務所 伊藤淳子)

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