女性グループの活動がいよいよ本格始動しました!
- 活動レポート
農水省の助成を得てパッケージをリニューアルした「ファヴァス・ソナ」
マウベシのコーヒー生産者協同組合コカマウでは、今、女性メンバーたちも活発に活動し始めています。これまで、家計への主な収入源はコーヒーからの収入によるもので、多くの家庭では男性たちがそのお金を受け取っています。しかし、コーヒーの収入は一年に一度のうえ、男性たちはお金が入るとどうしてもお酒やタバコに消費しがちです。そこで、パルシックでは、女性たちが直接収入を得られる活動として、養鶏やそら豆チップスの製作、販売などを行ってきました。これにより、女性たちが家計を管理できるようにし、さらに定期的な収入につながることを目標に、各村でグループを作って活動しています。
収穫した作物をそのまま売るだけでなく加工技術を身につけること、これまでなかなか家の外に出ることのなかった彼女たちにとって、仲間と共に働き交流できるよい機会となること、この活動にはそんな希望が込められています。
以前にも、このホームページでご紹介したことのある「ファヴァス・ソナ」(写真1)は、毎週100袋程度を生産、味のバリエーションも3つ(塩味、チリガーリック味、砂糖がけ)に増え、パッケージもリニューアルし、首都ディリのスーパーマーケットなど10店舗での販売を行えるまでになりました。一村一品運動のモデル商品に選ばれた「ファヴァス・ソナ」を筆頭に、さらなるSuco Ida Produtu Ida(One Village One Product・一村一品)の商品開発を目指して、自分たちの手で、それぞれの集落の地形や気候に合ったものを人々に喜んでもらえる商品へと加工し、販売しようと動き出しました。
食品加工指導を行うヴィセンテさん(写真右)
その一つが“チップス”です。
年中暑い東ティモールでは、バナナは一年中とれる果物です。サツマイモやタロイモもシーズン中には食べても食べきれないくらいたくさん収穫できます。そこで、それぞれのグループのメンバーたちと話し合いを重ね、それらの作物をチップスにしようと決めました。これらのチップスは、東ティモールではお馴染みのおやつで、キオス(小さな商店)やスーパーマーケットなどで売られていますが、どれも薄く切って揚げる、の一辺倒。どうしたらもっと美味しく、他とは違うものができるだろう・・・と考え、思い当ったのが食品加工研修を受けることです。そこで、インドネシアで食品加工を学んだ経験のあるプロフェッショナルの食品加工トレーナー、ヴィセンティさん(写真2)にマウベシまで来ていただきました。
まだ夜も明けない深夜2時、遠くバウカウよりバスに乗ってやって来てくれたヴィセンティさん。本当なら口外したくないだろう、とっておきのレシピを、同郷東ティモールの女性たちのためなら、と、トレーニングを快く引き受け、教えてくれました。
みんなでバナナやサツマイモを切って揚げて、特製のシロップに漬けてと、ほんのり甘くてカリッとした、とても美味しいチップスが出来上がりました。
彼から教えてもらったのは、チップスの作り方だけではありません。エプロンやマスクを着用するなどの衛生面での配慮や、グループ運営のことなど、話し出したら止まらないほど伝えたい想いがあり、トレーニングを行った二日間、彼からたくさんのことを学びました。
バナナチップスを作る女性メンバー
「これからは男性も家事をやらなくてはだめだ!」との彼の一言に、女性たちもそうだそうだと共感。男性と女性が一緒に台所に立つことも新鮮でした。一緒に家事をする様子、とても楽しそうだと思いませんか?
畑仕事に手洗いの洗濯、水汲みに火起こし、まだ小さな子どもたちのお世話・・・ただでさえ忙しい毎日の中、こうしてグループでの活動を行うことはやっぱり大変なこと。何より家族の理解や協力が不可欠です。今、「ファヴァス・ソナ」の活動には男性が一人、子どもを授かった奥さんに代わって毎週参加しています。別のトレーニングでも、奥さんの代わりにご主人が参加し、後で妻に見せるのだと言って、内容を全てノートに書き取って帰る様子も見られました。こうして少しずつですが、みんなが理解し協力し合って、活動を行っていけたらと願っています。
美味しいチップスの作り方を伝授してもらい、これからが本当の活動のスタート。一定の味を作り続け、パッケージに詰めラベルを張り、取り扱ってくれるお店を探し、収入につなげていく・・・、私たちにとって多くの挑戦が待っています。
続報をぜひ楽しみにしていてください!
(パルシック 栗栖奈津美)