特定非営利活動法人 パルシック(PARCIC)

〒101-0063
東京都千代田区神田淡路町1-7-11 東洋ビル

03-3253-8990

FAX03-6206-8906

シリア・レバノン(シリア難民)・トルコ

Syria/Lebanon

シリア・レバノン(シリア難民)・トルコの民際協力活動

困窮するシリア難民の人たちの暮らしを支え、シリア国内の復興を支援する

2011年にシリア内戦が始まって以来、
シリアでは1400万人以上の人が故郷を離れることを余儀なくされました。
今でも多くの人が故郷に戻れず、シリア国内で、あるいは近隣諸国に逃れて避難生活を送っています。
帰還できたとしても、復興が進まない中で困窮した生活を送っている人も大勢います。またシリア難民を多く受け入れているレバノンも経済危機や自然災害により、多くの人が困難な状況に置かれています。
パルシックは2016年からレバノンで食糧配布、越冬支援、子どもの教育などの
シリア難民支援を続けています。2019年からはシリア国内でも
食糧配布や食糧生産支援を開始しました。また、2020年レバノンで発生した大規模爆発、
2022年2月に発生したトルコ・シリア地震では緊急支援を実施しています。

プロジェクト

  • 活動中

    レバノンでのシリア難民・レバノン人への農業支援

    レバノンでのシリア難民・レバノン人への農業支援

  • 活動中

    トルコ・シリア地震被災者支援

    トルコ・シリア地震被災者支援

  • 活動中

    シリア国内避難民・帰還民の生活再建支援

    シリア国内避難民・帰還民の生活再建支援

  • 活動中

    レバノンでのシリア難民への教育支援

    レバノンでのシリア難民への教育支援

  • 活動中

    レバノンでのシリア難民への食糧・越冬支援

    レバノンでのシリア難民への食糧・越冬支援

活動終了したプロジェクト

スタッフレポート

  • レバノン緊急:停戦を受けて、帰還した人たちへの越冬支援

    レバノン緊急:停戦を受けて、帰還した人たちへの越冬支援

    • シリア・レバノン・トルコ
    • レバノンでのシリア難民への食糧・越冬支援
    • 緊急支援事業
  • シリアは夏野菜の収獲時期を迎えました

    シリアは夏野菜の収獲時期を迎えました

    • シリア・レバノン・トルコ
    • シリア国内避難民・帰還民の生活再建支援
    • 経済自立支援事業
  • 1年が廻り。アルサール・アルイマン校の今

    1年が廻り。アルサール・アルイマン校の今

    • シリア・レバノン・トルコ
    • レバノンでのシリア難民への教育支援事業

シリア・レバノン・トルコの現況を知る

地中海の東側に面するシリアは、アジア、ヨーロッパ、アフリカの三大陸を結ぶ要衝の地に位置し、古くから様々な文化の影響を受けてきました。変化に富んだ気候と風土により農業が盛んで、多種多様な作物が育ち、シリアの産業と豊かな食文化を支えてきました。内戦前は日本よりも安全な国と言われ、数多く残る古代遺跡や美しい街並みが魅力の観光地でもあり、内戦前にシリアを訪れた人は、ホスピタリティ溢れるシリア人が、街を歩くと気軽に声をかけてきたと言います。しかし、2011年に発生した民主化運動が内戦になり、人びとの生活は一変。戦禍を逃れるため国内避難民となった人びとは670万人に上ります。激戦地となった地域では、建物やインフラが破壊され、ほとんどの地域では復興が始まっていません。戦闘により多くの灌漑設備が壊され、農業の担い手が激減したことにより、農業生産も大きな打撃を受けました。主要作物の小麦の生産量は内戦前の半分以下に落ち込み、主食のパンを買うためにパン屋の前に行列が出来るなど、日々の食事にも事欠く状況が続いています。パルシックは、2018年よりシリア国内で食糧配布を中心に活動を始め、2020年からは人びとの自立を目指し農業生産支援を開始しました。まだ始めたばかりですが、シリアの復興に向けて少しずつ歩み始めています。

国基本情報

面積 18万5,180平方キロメートル(日本の約半分)
人口 2,240万人(2012年、出典:世界銀行)
  • 国外に避難したシリア難民の数は約550万人以上(2020年UNHCR)。内戦による死者は約57万人に上ると言われ、2020年の人口は1,750万人と推計されている。
宗教 イスラム教90%(スンニー派74%、アラウィ派・シーア派など13%、ドルーズ派3%)、キリスト教10%
民族 アラブ人約75%、クルド人約10%、アルメニア人等その他約15%(2020年、出典:CIA TheWorld Factbook)
経済 GDP341億ドル(一人当たり1,821ドル)(2014年、出典:UN Data)
GDP成長率-36.5%(2014年推定値、出典:CIA TheWorld Factbook)
主要産業 農業、繊維業、石油生産業
  • 世銀によると、2011年から2016年にかけての経済損失は、農業セクター160億ドルを含む2260億ドルに上ると推計されている。
初等教育就学率 99.1%(2011年)
  • 6~15歳(小・中学校)の就学率83%、16~18歳(高校)の就学率
    52%、19~23歳(それ以上)の就学率32%(2019年)
政治 1963年以降、一貫してバアス党(アラブ社会主義復興党)が政権を担っている。1973年の制定から2012年の改定までシリア・アラブ共和国憲法では、シリアを社会主義・人民民主主義国家とし、バアス党を「国家を指導する政党」と定められていた。2021年現在の大統領は、バッシャール・アサド(2000年より在任)。
  • シリア略史

    16世紀 オスマン帝国の支配下に入る。
    1918年 第一次世界大戦で連合国にオスマン帝国が降伏。
    1920年 連合国とオスマン帝国がセーヴル条約を締結。シリア、レバノンはフランスの委任統治領となり、ダマスカス国、アレッポ国、アラウィ自治地区、大レバノンとして分割統治される。
    1924年 ダマスカス国、アレッポ国が統合しシリア国が誕生。(1930年にシリア共和国に改名)
    1926年 大レバノン国で新憲法が成立し、レバノン共和国が誕生。
    1946年 シリア共和国としてフランスから独立。
    1948年 イスラエル建国により、第一次中東戦争が勃発。シリアは1,800人の兵隊を派遣するがイスラエル軍に敗北。
    1956年 第二次中東戦争が勃発。(エジプトとイスラエル、イギリス、フランスによるスエズ運河を巡る争い。)
    1958年 エジプトとシリアが連合国家結成。
    1961年 エジプトとの連合が解消され、シリア・アラブ共和国として独立。
    1963年 3月8日革命によりバアス党が政権奪取。
    1967年 第三次中東戦争が勃発。シリアはイスラエルによりゴラン高原を占領される。
    1970年 ハーフィズ・アサド国防大臣がクーデターで政権奪取し、翌年大統領に選出される。
    1973年 第四次中東戦争が勃発。エジプトとシリアがイスラエル軍を奇襲攻撃したが、ゴラン高原の奪還には至らなかった。
    1975年 レバノン内戦が勃発。翌年から2005年までシリア軍がレバノンに進駐。
    1991年 湾岸戦争が勃発。シリアは多国籍軍側に参戦。
    2000年 ハーフィズ・アサド大統領死去。息子のバシャール・アサドが大統領に就任。
    2003年 イラク戦争が勃発。治安の悪化に伴い、2007年には150万人のイラク人がシリアに避難した。
    2007年 バシャール・アサド大統領が再選。
    2010年12月 チュニジアで民衆蜂起が始まり、民主化と自由を求める運動『アラブの春』がアラブ諸国に拡大。
    2011年3月 シリア南部ダラア市で民衆蜂起が勃発。シリア内戦へと至る。

レバノンは2019年秋から始まった市民による政府への抗議運動、2020年夏のベイルート爆発事故、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴うロックダウンによる経済活動の低迷、ウクライナ危機の影響による世界的な物価高騰などにより、経済情勢は悪化の一途をたどっています。現地通貨であるレバノン・ポンド(LBP)は2019年夏までの1米ドル=1,500LBPから2023年2月時点で85,000LBPと98%下落し、物価は高騰、また深刻な燃料不足により発電所が稼働できず、停電が常態化しています。現在レバノンは世界で最も海外からの送金に依存している国の1つですが、銀行が預金者による引き出しを制限しており、武装した市民が銀行に押し入る事件が頻発しています。
国民の約8割が貧困に陥る中、子どもの教育費や通学費の捻出が難しく、退学する生徒数が増加するなど、経済情勢の悪化は子どもの教育にも影を落としています。そんな中、レバノンに暮らす約150万人のシリア難民の生活はかつてないほど困窮しており、実にその9割が生存に最低限必要とされる生活水準に達していません。教育面においても、シリア人児童のうち52%しか初等教育を受けられていません。
難民の存在を負担と感じるレバノン政府はシリア難民を母国へ帰還させる計画を発表し、2022年10月時点で実際に約750人のシリア難民が「自発的に」帰還しています。国連は難民の帰還は安全と尊厳が守られ、自発的なものであるべきだとしていますが、大半のシリア難民は母国での安全に不安を感じて帰還できずにいます。

国基本情報

面積 1万452平方キロメートル(岐阜県程度)
人口 約610万人(2018年推定値(2019年、出典:CIA The World Factbook))
  • パレスチナ難民47万5,000人、シリア難民86万5,000人が登録されており、国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)および国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録されていない人を含めると4人に1人が難民である。
宗教 キリスト教(マロン派、ギリシャ正教、ギリシャ・カトリック、ローマ・カトリック、アルメニア正教)、イスラム教(シーア派、スンニ派、ドルーズ派)など18宗派
民族 アラブ人(95%)、アルメニア人(4%)、その他(1%)(2019年、出典:CIA The World Factbook)
経済 GDP533.67億ドル、GDP成長率 -5.6%(2019年、出典:世界銀行)
主要産業 金融業、不動産業、観光業、食品加工業等
初等教育就学率 6.2%(2019年、出典:世銀銀行)
政治 レバノンには18の宗派が存在し、各宗派に政治権力が配分されている(大統領:マロン派、首相:スンニ派、国会議長:シーア派)。そのため、国益よりも宗派の利益が優先され、政治腐敗が深刻な社会問題となっている。
  • レバノン略史

    16世紀 オスマン帝国の支配下に入る。
    1918年 第一次世界大戦で連合国にオスマン帝国が降伏。
    1920年 連合国とオスマン帝国がセーヴル条約を締結。シリア、レバノンはフランスの委任統治領となり、大レバノン国として分割統治される
    1926年 大レバノン国で新憲法が成立し、レバノン共和国が誕生
    1943年 フランスより正式に独立
    1948年 イスラエル建国宣言により、第一次中東戦争が勃発。レバノンに10万人のパレスチナ難民が流入
    1970年 ヨルダン内戦の発生に伴い、パレスチナ解放機構(PLO)は本部をヨルダンからレバノンに移転する
    1975年 PLOの本部移転に伴い、多数のパレスチナ難民がレバノンに流入し、国内の宗派間のバランスが崩れたことによりレバノン内戦が始まる
    1978年 イスラエルが南部レバノンに侵攻
    1982年 サブラー・シャティーラ事件が勃発し、親イスラエル派のキリスト教徒によってパレスチナ難民が大量虐殺される
    1989年 サウジアラビアの仲介により内戦終結及び国家再建を目指しターイフ合意(国民和解憲章)成立
    1990年 シリアの介入により、レバノン内戦が終結
    2000年 イスラエル軍が南レバノンから撤退
    2005年 シリア軍がレバノンから撤退
    2006年 レバノンのシーア派武装組織ヒズボッラーとイスラエルの間で戦争が勃発。国連安保理1701号決議により、停戦が実現
    2008年 シリアと国交正常化
    2011年 シリア危機の発生により多くの難民がレバノンに避難し始める
    2019年 長年の政府の腐敗・機能不全に対し、反政府抗議デモが発生
    2020年 政府債務がGDPの170%に上り、レバノン初の債務不履行を宣言
    2020年 ベイルート港にて大規模爆発が発生

トルコ共和国、通称トルコは、アジアとヨーロッパにまたがる国。シリア難民を370万人も受け入れており、難民受け入れは国別で見た場合、第1位となっています。しかし、トルコは地震が多い国と言われており、日本よりも短い間隔で内陸の大地震が発生しやすくなっています。

国基本情報

トルコ共和国(Republic of Turkey)
首都 アンカラ
面積 780,576平方キロメートル(日本の約2倍)
言語 トルコ語(公用語)
人口 85,279,553人(2022年)
宗教 イスラム教(スンニ派、アレヴィー派)が大部分を占める。
その他ギリシャ正教徒、アルメニア正教徒、ユダヤ教徒等。
  • シリア難民状況

    2011年にシリア紛争が始まり、2019年頃より武力衝突は徐々に収まってきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大や欧米諸国による経済制裁、2022年のウクライナ危機と世界的な物価上昇、さらには経済的な結びつきの強い隣国レバノンの経済情勢の継続的悪化に伴い、人びとの生活状況はむしろ悪化しています。現地通貨価値は、経済制裁前の2020年5月の1ドル1,600シリアポンドと比較すると2022年12月には7,150と80%近く下落。WFPによると、食糧価格は2020年1月比で2022 年10 月には約10倍にまで高騰しました。人道支援を必要とする人の数は、2020年には1,340万人だったのが、2022年には全人口の69.5%にあたる1,530万人となり、シリア危機以降、最大を記録しました。

    国内に食糧を供給する農業部門は、天候不順や水不足といった気候変動問題に加え、燃料や電力、種子、肥料、農薬等の価格上昇の打撃を受け、経済的に脆弱な小規模農家の多くは、規模を縮小したり、安い代わりに品質のよくない種や苗を使ったり、あるいは農業活動自体を断念したりせざるを得ない状況に陥っています。その結果、主食である小麦の2022年における収穫量は、シリア内戦前に比べて4分の1にまで減少しています。そうした状況下で、2023年2月にはトルコ・シリア大地震が発生し、人びとの生活は厳しさを増すばかりです。

  • シリア紛争略史

    2010年 12月 チュニジアでの抗議運動をきっかけに、「アラブの春」と呼ばれる大規模デモがアラブ地域に展開される。
    2011年 2月 シリア政府がインターネット規制を撤廃。民主化の動きが強まる。
    3月 シリア南部ダラアでのデモにより、4名が死亡し民衆蜂起が激化。
    2012年 6月 ラドゥース国連事務次長がシリアの内戦状態を表明。アサド大統領がシリアの戦争状態を表明。
    2013年 8月 シリア政府軍は化学兵器攻撃を実行するも、ロシアの介入により化学兵器廃棄に合意。
    2014年 6月 大統領選でハフェーズ・アル=アサド氏が再選。
    2016年 9月 ヨーロッパへ渡るシリア難民の数を抑制するため、EUがトルコ内にいるシリア難民のうち、約100万人を対象とした合計3億4,800万ユーロ相当の電子バウチャー・カード配布プログラムを開始。
    11月 トルコのエルドアン大統領は29日、トルコ軍による軍事行動の開始を発表。
    12月 シリア北部の要衝アレッポをシリア政府軍が反体制派から奪還。
    12月 シリア・アサド政権を支援するロシアと反体制派を支援するトルコの仲介で、シリア政府と反体制派グループがシリア全土における停戦に合意。
    2017年 1月 カザフスタンにて和平会談開催。イラン、ロシア及びトルコが停戦強化に合意、シリア政府及び反体制派はいずれも合意せず、具体的な停戦案には至らず。
    4月 シリア政府軍による化学兵器使用疑惑により、米軍がシリア国内のシャイラート空軍基地を巡航ミサイルで攻撃。
    10月 米軍の支援を受けたクルド人勢力のシリア民主軍(SDF)がラッカを完全制圧。
    12月 ロシアのプーチン大統領がイスラム兵掃討完了とロシア軍主力の撤退開始を宣言。
    2018年 1月 トルコ軍がクルド人勢力の民主連合党(PYD)が支配するシリア北西部に攻撃を開始する。
    5月 2011年以来7年ぶりに首都ダマスカス全土がシリア政府軍支配地域となる。
    9月 シリアとヨルダンの国境機能再開
    2019年 3月 米軍の支援を受けたSDFがイスラム国最後の拠点であるシリア東部のバグズ町を制圧。
    10月 シリア政府とシリア交渉委員会が国連の仲介の下で設立に合意した、憲法委員会がジュネーブで開催され、同委員会が活動を開始。
    10月 米軍のシリアからの撤退表明を受け、翌日トルコが、シリア北東部に侵攻し、テロ組織と見なすクルド人勢力を攻撃。
    12月 シリア北西部の反体制派支配地域での戦闘が激化し、同地域で96万人を超える国内避難民が発生。
    2020年 2月 シリア北西部イドリブ県において、ロシアを後ろ盾とするシリア政府軍と、反体制派を支援するトルコ軍の戦闘激化
    3月 ロシアとトルコとの間でイドリブ県における停戦が合意され、安全回廊の設置と、幹線道路M4沿いの共同警備が決定された。
    6月 アメリカがシリアへの新たな経済制裁、シーザー・シリア市民保護法を発令。
    7月 イスラエルがシリア領内の親イラン派勢力への空爆を激化
    10月 シリア政府軍を支援するロシア軍により、トルコが支援する反体制派の戦闘員78人が死亡。
    12月 シリア東部デリゾール県でイスラム国の攻撃によりシリア政府軍の兵士37人が死亡。
Donation

共に助け合い、支え合う世界へ

パルシックの活動に
寄付で参加しませんか?